弁護士がインテリアについて少しだけ話してみます④

最終更新日: 2018年10月15日

カテゴリ:

執筆: 弁護士 根來真一郎

私は、株式会社三越に勤務していた当時、家具の販売や仕入れを担当していました。弁護士でありインテリアコーディネーターでもある私が、インテリアと関連する法律問題について少しだけ話してみるという記事の第4弾です。

【参考】
弁護士がインテリアについて少しだけ話してみます①
弁護士がインテリアについて少しだけ話してみます②
弁護士がインテリアについて少しだけ話してみます③

旭川、大川、飛騨・・・

旭川、大川、飛騨・・・という地名が並んでいたら、どんな関係がある地名達と思うでしょうか。インテリアファンの方や家具業界の方であれば、国産家具の産地だなとピンと来ると思います。

私も仕入れを担当していた当時、商材の仕入れのため、出張で産地の展示会に出向いていました。私が仕入れたセール用商材が思うように売れず、慌てて自ら売場に立ち、なんとか売り切ったこともいい思い出です。

出張の移動時間って労働時間に該当するの?

サラリーマンの方であれば、出張の移動時間が労働時間に該当するのかについて気になったことがある方はいらっしゃるのではないでしょうか。家具販売店や問屋の経営者の方であれは、社員の出張中の移動時間が労働時間に該当するかは気になるところと思います。
 
そもそも労働基準法32条が定める「労働時間」とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。「指揮命令下」に置かれているかは、労働契約や就業規則によって決まるのではなく、場所的拘束性や時間的拘束性、指示の有無、裁量の有無、人事考課の対象か等により客観的に定まります。
 
では、出張の移動時間は、「労働時間」に該当するのでしょうか。

一般的には、出張の移動時間は会社や上司の指揮・命令が及ばない移動時間について、「労働時間」に該当しないと考えられています。通勤時間と同じようなイメージです。国が出した行政通達も同様の考えを採用しています。

ただし、監視が必要な重要な書類や商材を運搬していて、監視が指示されている場合等の特段の事情がある場合は「労働時間」に該当することとなります。
 
なお、労働基準法上の「労働時間」に該当した場合でも、当然に労働契約所定の賃金請求権が発生するわけではありません。労働と賃金の対価関係は労働契約の本質的部分でありますが、このあたりはややこしいところです。

最後に

「労働時間」に該当するかは、個別具体的事情から判断されます。分からないことがありましたら、お気軽に弁護士までご相談ください。

個人の方からは、法律相談だけでなくインテリアの相談も是非ともお待ちしております。また、家具販売店や問屋の経営者の方で、家具の実務を知っている弁護士に相談したいという方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 根來真一郎