【弁護士の体験記】左膝の可動域制限をどう克服したか?リハビリ半年間の経緯
1. はじめに|ラグビーでの負傷
私は、2018年3月上旬にラグビーの試合中に左膝を負傷しました。その結果、左膝の可動域に制限が生じ、整形外科で改善のためのリハビリに取り組むこととなりました。
スポーツ中の負傷ということで、交通事故で突然の被害者となった方とは状況が異なりますが、治療やリハビリの過程には共通する重要なポイントが多くあります。
交通事故の治療やリハビリの参考になるかもしれませんので、治療経緯などをお伝えします。
負傷当日:死角からのタックルと応急処置
負傷した状況は、キックチェイスをして相手チームの選手と競り合った際、死角である方向からタックルを受け、左膝が通常と反対方向に開いてしまったというものです。
負傷が日曜日の夕方だったため、その日のうちに病院へ行けず、応急措置としてアイシングなどを行い、なんとか家に帰りました。
2. 受傷直後から初診まで|スピード感が後の結果を左右する
負傷翌日:診察、血抜き、そして松葉杖生活の始まり
翌日、出社して仕事をこなし、裁判も入っていたので足を引きずりながら対応しました 。
なんとか時間を作って、自宅からも職場からも通いやすい整形外科を受診します。診察では、左膝に溜まっていた血を抜き、左膝固定用のニーブレースと松葉杖をいただきました。
靭帯の状況を確認するため、早急にMRI検査が必要ということで、その場で予約をしていただきました。

【交通事故のポイント】事故直後に病院を受診すること
交通事故を扱う弁護士として、治療やリハビリの観点からまず強調したいのは、できるだけ早く病院を受診することです。
① 正確な診断の重要性
元の体の状態に戻るためには、まずは医師から正確な診断を受けることが大事です。
② アドレナリンの影響
事故直後は興奮状態で痛みを感じないことがありますが、体は大きなダメージを受けており、後から痛みが出てくる場合があります。
③ 因果関係の否定を防ぐ
受診が遅れると、相手方保険会社は信じがたいことに、交通事故が原因の負傷ではないと主張することがあります。
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【交通事故のポイント】損害賠償の観点
交通事故の場合、治療の観点だけでなく「損害賠償」という観点も必要です。
適正な賠償を受けるためには、よつば総合法律事務所の交通事故特設サイトにある「損害賠償額の計算方法」なども併せて参照し、知識を備えておくことが重要です。
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3. 精密検査とリハビリの開始|客観的データの重要性
負傷翌々日:MRI検査の実際
負傷翌々日、紹介状を書いていただき別の病院でMRI検査を行いました。検査の経験者は知っていると思いますが、「ブオーン、ブオーン、ブオーン」という重低音が、検査している30分以上の間ずっと鳴り響いておりました。
MRI検査は相当混んでいるようで、私の直後にもすぐに別の方の検査が行われていました。MRI検査の結果は、次のような感じです。

【交通事故のポイント】早期のMRI検査
① 脊髄や神経根の調査
レントゲン写真では骨の異常が判明するにとどまりますが、MRI検査は脊髄なども映し出すことができるため、症状の原因をより詳しく調べることができます。
② 保険会社への対抗
MRI画像に異常が写っていたとしても、相手方保険会社は信じがたいことに、交通事故が原因の負傷ではないと主張することがあります。早期の撮影はその反論を防ぐ材料となります。
4. 街行く方々の優しさに触れて
ある雨の日、両腕で松葉杖をついていた私は傘をさすことができず、レインコートを着てびしょびしょになりながらノロノロと進んでいました。
すると偶然通りかかった方が「私もけがをしたことがあるので」と、ご自分も濡れてしまいそうなのに、屋根がある場所まで傘を差し出してくださいました。
また、駅の階段で「荷物持ちましょうか」と声をかけていただいたり、電車でサラリーマンの方に席を譲っていただいたりと、多くの方の優しさが身に沁みました。
5. 治療継続とリハビリ開始
MRI検査結果をもとに診察を受け、膝を伸ばした場合や曲げた場合の痛みの箇所を漏らさず医師に伝えました。
腫れがひいた2週間後、サポーターをスーツの下に付けることができる小さなものに変更し、理学療法士の指導によるリハビリが開始されました。
開始時の可動域と左右差は以下の通りです。
| 屈曲 (曲げる動き) | 進展 (伸ばす動き) | |
|---|---|---|
| 左膝 | 90° | -15° |
| 健康な膝の参考値 | 130° | 0° |
なお、自ら動かす測定(自動値)、第三者が動かす測定(他動値)でも同じ数値でした。
また、左膝と健康な右膝の太さを比べたところ、約1.5cmの左右差が生じていました。スーツの下に付けることができるサポーターを使うこととなりました。

【交通事故のポイント】自覚症状の伝達と治療の継続
① 正確に症状を伝える
医師への伝達内容はカルテに記載され、後の後遺障害審査や裁判で証拠となります。記録されなかった症状は「なかった」と判断されるリスクがあるため、正確に伝えてください。
② 医師の指示を遵守する
次の受診やリハビリの指示に従わない場合、保険会社は「治ったから来なくなった」と判断し、治療費を打ち切る可能性があります。
6. リハビリの継続と松葉杖の卒業|回復の実感と壁
受傷から1か月半:松葉杖が取れました
診察は2週間に1回、リハビリは週2回のペースで通いました。
内容はマッサージや電気刺激から始まり、少し可動域が改善すると苦手な体幹トレーニングも始まりました。
理学療法士の方は人体のことを熟知されており、リハビリ後は劇的に可動域が回復します。そのおかげで、ついに松葉杖をとることができ、自由に歩き回れる身軽さを実感しました。
【交通事故のポイント】定期的なリハビリの重要性
① 事故前の体に戻すために
被害者にとって一番重要なことは元の体に戻すことであり、定期的なリハビリは不可欠です。
② 治療費打ち切りと後遺障害
加害者の立場にあるにもかかわらず、保険会社が「治った」と決めつけて支払いを打ち切ることは信じがたいことですが、現実に起こり得ることです。
また、治療日数が後遺障害の認定に影響を与えることもあるため、忙しくとも定期的に通う必要があります。
7. 受傷から4か月|一進一退の攻防
診察は月に1回となりました。
① 進展(伸ばす動き)
0°まで回復し、完全に行えるようになりました 。
② 屈曲(曲げる動き):
120°~125°でした。理学療法士に押してもらうと完全に曲がる日もありますが、調子の悪い日もあり、なかなか完治に至らないもどかしい時期でした。
【交通事故のポイント】保険会社からの「打ち切り通知」
事故から3~4か月経過すると、保険会社から「他覚的所見のない自覚症状のみなので症状固定と判断し、治療費支払を終了します」といった通知が来ることがあります。
しかし、治療終了の時期は医学的知識のない保険会社が決めるものではなく、医師が被害者と相談して決めるものです。打ち切りを通知しておきながら、MRIやレントゲン写真すら確認していない担当者も日常茶飯事です。
このような通知が届いた場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
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8. 競技復帰への最終段階|筋出力の測定と追い込み
客観的な「数値」が突きつける現実
受傷から4か月、競技復帰を見据えて左右の筋出力を測定しました。しかし、けがをしている左足はまだ不十分でした。

| 怪我をしていない右足 | 怪我をしている左足 | |
|---|---|---|
| 筋出力 | 110 | 75 |
| 読み取れること | 初動後、筋出力が増していく | 初動以降、筋出力が増えない |
【交通事故のポイント】「他覚症状」による客観的証明
「自覚症状」だけでは保険会社から反論されやすいため、客観的に証明できる「他覚症状」が重要です。
レントゲンやMRI等の画像診断、そして神経学的検査などの負担は大きいですが、医師の指示に従って検査に臨んでください。弁護士はこれらの結果を精査し、整合性を確認したうえで後遺障害申請を行います。
9. 受傷から半年以上|過酷なリハビリと完治
痛みはほとんどなくなり、リハビリメニューは学生時代のラグビー部時代のトレーニングのように厳しくなりました。
レッグプレス、片足スクワット、片足ジャンプ&しゃがみこみ、カーフレイズ(ふくらはぎ)と、限界まで追い込み、Tシャツは汗だくになりました。
その結果、左右の筋出力グラフはほぼ同じ形を描くようになりました。

赤色:怪我をしている左足(現在)
黄色:怪我をしている左足(リハビリ途中)
リハビリ途中のふにゃふにゃとしたグラフに対し、現在は初動から一直線に筋出力が伸びるようになりました。
医師や理学療法士と相談し、ついに治療終了、ラグビー競技復帰となりました。
【交通事故のポイント】治療を終了するタイミングの慎重な判断
交通事故の被害者は、治療を終了するタイミングに細心の注意を払ってください。
① 治癒(100%回復)
診断書の「治癒」項目に印が付きます。これ以降は、原則として治療費は出ません 。
② 症状固定
症状が残ってしまった場合、後遺障害診断書に「症状固定日」が記入されます。同様に、これ以降の治療費は原則として出ません。
治癒したか、あるいは症状固定とするかは、医師と慎重に相談して決めるべきものです。判断に迷うことがあれば、いつでもご相談ください。
執筆: 弁護士 根來真一郎