クーリングオフって何だろう?

最終更新日: 2018年05月21日

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執筆: 弁護士 辻悠祐

特定商取引法におけるクーリングオフとは

特定商取引法におけるクーリングオフとは、申込みまたは契約の後に契約書等の書面を受け取ってから一定期間内なら(解除原因や取消原因不要という意味での)無条件で解約できるというものです。具体的には、一定の書面を受け取ってから、訪問販売・電話勧誘販売に係る取引・特定継続的役務提供に係る取引・訪問購入に係る取引においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引については20日間の期間クーリングオフが可能です。制度の趣旨としては、訪問販売等の場合、消費者が強引に購入させられるような場合が多いことから、消費者に冷静になる期間を与えてその間は無条件・無負担の解約を許容しようというものです。

クーリングオフの最大の特徴は、無条件・無負担ということです。たとえば、訪問販売員がやって来て「お宅の屋根の瓦がずれているので、このままだと雨漏れしたり、家の柱が腐ってきますよ。私は施工業者なのですが、見かねて声をかけてしまいました」などといって、結果的に屋根の修繕についての契約を締結したとします。そして、契約書を交付して、2~3日で工事を完成させた後に、やっぱり契約の必要がなかったと思って注文者がクーリングオフしたとします。この場合、注文者は工事によって屋根の修繕の利益があるにもかかわらず、クーリングオフで無条件・無負担に解約できるのです。このようにクーリングオフは、消費者にとって強力な制度であるのです。その代わり使用できる期限は短いです。なので、契約を解消したいと思ったときはすぐに動く必要があるのです。

クーリングオフの対象となる取引ってどんなもの?

訪問販売・電話勧誘販売に係る取引・特定継続的役務提供に係る取引・訪問購入に係る取引・連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引がクーリングオフの対象となる取引です。この中でも、クーリングオフされることが多い訪問販売とは何かを説明したいと思います。

訪問販売とは・・・
訪問販売とは、営業所以外の場所で契約するような場合、具体的には、新聞の勧誘販売員など飛込営業などが訪問販売の典型例です。

営業所で契約した場合であっても、路上などで消費者を呼び止めで、営業所に同行させて契約させる、キャッチセールスの場合や「あなたは1万人の中から選ばれました」などと販売目的などを告げずに営業所に呼び出して契約させるアポイントメントセールスの場合は、訪問販売に該当し、クーリングオフの対象となります。

次回について

次回はクーリングオフの要件について説明していきたいと思います。
次回の記事もぜひご覧ください。

(参考条文)特定商取引法
第二条 この章及び第五十八条の十八第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 辻悠祐