クーリングオフの対象取引~補足~

最終更新日: 2018年05月30日

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執筆: 弁護士 辻悠祐

クーリングオフについて、これまでブログの中で説明してきましたが、対象取引について、きちんと説明したのが、訪問販売ぐらいだったので、残りの対象取引の中でもとくにイメージがつきにくい、特定継続的役務提供に係る取引・訪問購入に係る取引・連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引がどのような取引なのか簡単に説明しておきます。

特定継続的役務提供にかかる取引とは

長期継続的な役務の提供とこれに対する高額の対価を約束する取引のことを意味しており、現在は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の取引が対象となっています。

特定継続的役務提供にかかる取引とは

長期継続的な役務の提供とこれに対する高額の対価を約束する取引のことを意味しており、現在は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の取引が対象となっています。

連鎖販売取引とは

物品や役務の販売事業者であって、再販売のあっせんをする者を、利益が得られると誘い、負担を伴う取引をさせるような場合、たとえば、「この会に入会すると、定価の5割引きで購入できるので、この会に入会して、5割引きで商品を購入して他の人に売れば儲けられるよ」などと誘引して販売する取引などが考えられます。

業務提供誘因販売取引とは

「仕事を提供する」「仕事に必要なので」などと消費者を誘引して、商品を購入させるような取引のこといいます。たとえば、「当社の資格試験対策講座を受講して、資格を取得すれば、当社が仕事をあっせんするので、受講しませんか」のように、役務を提供する事業者が、購入することで利益を得られると誘引して、消費者が負担を伴う取引を行うような場合業務提供誘因販売取引に該当します。

最後に

これまで3回に渡り、クーリングオフについて説明してきましたが、実際にクーリングオフができるか否かという判断が難しい時も多々あります。ですので、ぜひ専門家に相談していただくことをおススメします。

(参考条文)
特定商取引法
(定義)
第三十三条 この章並びに第五十八条の二十一第一項及び第三項並びに第六十七条第一項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下この章及び第五章において同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、販売の目的物たる物品(以下この章及び第五十八条の二十一第一項第一号イにおいて「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあつせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあつせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の主務省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章及び第五十八条の二十一第一項第四号において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。
2 この章並びに第五十八条の二十一、第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付し、若しくは連鎖販売業に係る役務の提供について自己の商号その他特定の表示を使用させ、連鎖販売取引に関する約款を定め、又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う等一連の連鎖販売業を実質的に統括する者をいう。
3 この章において「取引料」とは、取引料、加盟料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

(定義)
第四十一条 この章及び第五十八条の二十二第一項第一号において「特定継続的役務提供」とは、次に掲げるものをいう。
一 役務提供事業者が、特定継続的役務をそれぞれの特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約(以下この章において「特定継続的役務提供契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供
二 販売業者が、特定継続的役務の提供(前号の政令で定める期間を超える期間にわたり提供するものに限る。)を受ける権利を同号の政令で定める金額を超える金銭を受け取つて販売する契約(以下この章において「特定権利販売契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供を受ける権利の販売
2 この章並びに第五十八条の二十二第一項第一号及び第六十七条第一項において「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供される役務であつて、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で定めるものをいう。
一 役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの
二 役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの

(定義)
第五十一条 この章並びに第五十八条の二十三、第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品(以下この章及び第五十八条の二十三第一項第一号イにおいて「商品」という。)又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益(以下この章及び第五十八条の二十三第一項第三号において「業務提供利益」という。)を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章及び第五十八条の二十三第一項第三号において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。
2 この章において「取引料」とは、取引料、登録料、保証金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品をいう。

特定商取引に関する法律施行令
別表第四(第十一条、第十二条、第十五条、第十六条関係)

特定継続的役務
特定継続的役務提供の期間
契約の解除によつて通常生ずる損害の額
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
一 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(二の項に掲げるものを除く。)。
一月
二万円又は当該特定継続的役務提供契約に係る特定継続的役務の対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額(以下この表において「契約残額」という。)の百分の十に相当する額のいずれか低い額
二万円
二 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであつて、主務省令で定める方法によるものに限る。)。
一月
五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
二万円
三 語学の教授(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため又は同法第一条に規定する学校(大学を除く。)における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く。)
二月
五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
一万五千円
四 学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び小学校を除く。)、同法第百二十四条に規定する専修学校若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校の入学者を選抜するための学力試験(義務教育学校にあつては、後期課程に係るものに限る。五の項において「入学試験」という。)に備えるため又は学校教育(同法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)における教育をいう。同項において同じ。)の補習のための学力の教授(同項に規定する場所以外の場所において提供されるものに限る。)
二月
五万円又は当該特定継続的役務提供契約における一月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
二万円
五 入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る。)
二月
二万円又は当該特定継続的役務提供契約における一月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
一万一千円
六 電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授
二月
五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
一万五千円
七 結婚を希望する者への異性の紹介
二月
二万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
三万円

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 辻悠祐