2017年度自動車保険の概況が発表されました

投稿日: 2018年05月24日

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弁護士の粟津です。

先月4月20日に、「2017年度版自動車保険の概況」が、損害保険料率算出機構より発表されました。

統計資料は損害保険料率算出機構HPよりダウンロードできます

損害保険料率算出機構とは、業務の一つとして、交通事故における自賠責保険の損害調査を行う機関です。例えば、自賠責保険に請求があった治療費や後遺障害の内容について、必要な調査を行っており、重要な役割を担っています。他にも保険の参考純率及び基準料率の算出などを行っています。
実際に、自賠責保険の損害調査を行うのは、各地区の自賠責調査事務所ですので、こちらの名前の方が馴染みがあるかもしれません。なお、千葉県在住の被害者の方の案件を所管する、千葉自賠責調査事務所は、当事務所千葉事務所から歩いて10分程度のところにあります。

この損害保険料率算出機構は、自賠責保険への請求があった場合のデータを収集し、毎年統計を発表しています。交通事故の近況を知るうえで非常に参考になりますので、今回発表があった「2017年度自動車保険の概況」より、私が特に注目した統計結果をご紹介させていただきます。

1、人身事故として警察に届出がなされなかった事故への支払が増加

自動運転の普及、厳罰化等により、交通事故件数が減少していることはよく知られているところですが、警察に人身事故として届出がなされない(物件事故扱い)まま、自賠責保険に治療費等の人身損害の請求する案件が増加しています。
なお、物件事故扱いであっても、所定の書式を揃えることで、自賠責保険に人身損害に関する請求をすることは可能です。
当事務所にも、警察に人身事故の届出をすべきか?人身への切り替えをしたいが出来ない!などのご相談が寄せられることがあります。
統計上も受傷しているにもかかわらず警察において物件事故扱いとなっている案件が多いようです。

2、後遺障害の認定件数が減少

2016年度の後遺障害の認定件数は59、642件でした。これは、2015年度の62、009件と比較して大きく減少しています(約3.8%減少)。特に、頸椎捻挫・腰椎捻挫の場合に問題となることが多い、14級の認定件数が、大きく減少しているようです(2015年度36、335件→2016年度34、633件)。
弁護士の所感としても、後遺障害の中で多くの割合を占める、局部神経症状(14級9号)の認定が厳しくなったという話を聞くことがあります。この統計を参照すると、事故及び自賠責保険への請求が減少している(約1.2%減少)ことを加味しても、この話は信ぴょう性を帯びてきます。
後遺障害の申請に際しては適切に医証を揃え、慎重に後遺障害申請を行う必要があると考えます。

3、施術期間および施術日数の平均は引き続き減少

2016年度の整骨院、接骨院等に通院する際の、被害者一人あたりの平均施術期間は106.4日、施術実日数は49.1日でした。
2014年度以降整骨院、接骨院に通院する際の平均施術期間、施術実日数は減少傾向にありますが、昨今の状況に鑑みると今後もこの傾向は続くかもしれません。

以上、今回発表があった「2017年度版自動車保険の概況の内容」について統計結果を一部ご紹介させていただきました。交通事故を取り巻く近況に注視した上で、個々の事件に向き合いながら引き続き交通事故の被害者救済のために力を尽くしていきたいと思います。