戸籍調査の方法
戸籍の調査は、相続の際に、相続人の範囲を確定するために必要なものです。戸籍には、いろいろな情報が記載されていますが、どこをどう見ればいいのか分からないのが普通だと思います。たとえば、相続関係図を作りたいと思っても、適切に戸籍を調査できなければ、相続関係図を作成することはできません。そこで、今回は、戸籍を見る際のポイントをいくつかあげたいと思います。
ポイント①:戸籍に記載されている用語や制度を理解すること
(1)入籍・除籍
入籍とは、戸籍に入ること。除籍とは、戸籍から除かれることを意味します。
具体的には、入籍原因としては、出生、婚姻、養子縁組などが考えられます。
また、除籍原因としては、婚姻、離婚、養子縁組、死亡、転籍などが考えられます。
(2)編製・消除
消除とは、戸籍の改製や全員の除籍により、戸籍が閉鎖された状態を意味します。改製により消除された戸籍は「改製原戸籍」として保管され、戸籍に記載されている全員が死亡などにより除籍された場合は、「除籍謄本」として保管されています。
(3)戸籍制度の歴史
現在の相続制度は、死亡により相続が発生し、原則的には、法定相続人(配偶者や子供など)がその財産を相続するので、昔の家督相続時代と大きく違いますよね。
戸籍制度は、家督相続制度から現行の相続制度の移行に伴う編製、コンピュータ化に伴う編製などを経て現在の戸籍制度があるのだということを理解しておく必要があります。
ポイント②:いつからいつの戸籍かを理解すること
戸籍の情報がいつからいつなのかを知るためには、家督相続制度時代の場合は、「戸主」の上段の家督相続届出により受付をした時期に戸籍が作成されたことが分かります。対して、戸籍が終了した時期は、戸主の上段の「消除」の時期を見れば、いつまでの戸籍なのかがわかります。
また、戦後(コンピュータ化される前)の戸籍は、本籍の隣の欄に「●年●月●日編製」などと記載されており、いつからの戸籍なのかわかります。また、本籍の隣の欄外のところを見ると、「●年●月●日消除」と記載されており、いつ戸籍が閉じたのかもわかります。コンピュータ化された現在の戸籍(手書きでない戸籍)は「戸籍事項」【改製日】●月●日と記載があるので、いつからの戸籍かわかります。
以上のように、戸籍には落とせない読み方のポイントがあります。上の説明は、戸籍の読み方の一部に過ぎません。間違いなく相続人の範囲を確定させたい時などは、ぜひ相続の専門家である弁護士にお任せください。
※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。
執筆: 弁護士 辻悠祐