インターネットなりすまし・アカウントの乗っ取り対応策
1 なりすましやアカウントの乗っ取り被害が続出しています
ヤフーニュースで、えきねっとの偽サイトがGoogleの検索上位に表示されていたこと、ドメインからロシアであること、おそらくフィッシングサイトとみられることが記載されており、すごく怖いなと思いました。
SMSから定期的に届くフィッシングサイトに誘導するであろうURLのリンクをクリックする方はほとんどいないかと思いますが、Googleの検索上位で表示されているえきねっとに類似したサイトであれば信用してしまう可能性はかなり高いです。ドメインまで確認してサイトに入る方はかなり少数だと思います。
2 私も最近アカウントの乗っ取り被害に遭いました
このニュースに敏感になった理由としては、私もつい最近某動画配信サービスのアカウントの乗っ取り被害を受けたからです。
乗っ取り被害に気づいたのは、突然、利用を停止していた動画配信サービスから利用再開の連絡と電話番号の変更が完了した旨のメールが送られてきたからです(ちなみに、変更後の電話番号はアイルランドのものだったようです・・・)。
身に覚えがなかったことから、アカウントが乗っ取られたと気づきました。すぐに動画配信サービスに連絡をして、利用停止・アカウントの削除・返金手続等を行ってもらいました。幸いこの動画配信サービスはすごく丁寧に手続きをしてくれたので、スムーズに対処することができましたが、それでも20~30分ぐらい手続きに時間を取られました。
3 なりすましやアカウントの乗っ取り被害に気づいた場合の対処法
(1)まずはサイト管理者(コンテンツプロバイダ)に連絡をしましょう。
まずは、サイト管理者に連絡をするべきです。一刻も早くサイト管理者に連絡するようにしてください。サイト管理者も慣れているはずなので、専用の窓口を用意しているケースが多いと思いますので、そちらに連絡されることをおすすめします。
(2)サイト管理者が対応してくれない場合(もしくは対応が不十分な場合)
弁護士に相談して、削除が法律的に可能かどうかを相談することが有効です。なお、なりすまし投稿をされた場合に、なりすまし投稿を行ったアカウントそれ自体を削除できるかという問題については裁判所のハードルはかなり高いです。
過去に、他人Aさんが開設したTwitterのアカウントに元AV女優Bさんと同一人物であると理解されるような虚偽事実を投稿した事案で、アカウント全体の削除を認めた事例はありますが、事案の悪質性が高かったものと思われます(平成29年10月 3日さいたま地裁決定、投稿記事削除仮処分命令申立事件)。
4 なりすましやアカウントの乗っ取り対応策について
私がアカウントの乗っ取りに早期に気づけた理由はメールでした。最近メールをあまり確認されていない方も多いかもしれませんが、やはりメールのチェックは定期的にしないといけないなと思いました。
実はずいぶん前に、クレジットカードを不正利用されたこともあります。そのときは、クレジットカード会社から電話で「アメリカで、パソコンを購入されていますか?」と電話があって気づきました。そう思うと、色々乗っ取られているなと感じます・・・
以上をまとめると、なりすましやアカウントの乗っ取りの対応策としては以下の方法をとることが有効かと思います。
- メールボックスは整理しておき、重要なメールはすぐに確認できるようにしておく
- メールは定期的にチェックする
- 電話も折り返しが必要なものとそうでないものをしっかり選別する(インターネットで電話番号を調べるとどこからの架電なのか分かります。また重要な電話は伝言が残っているケースが多いです)
- 長期間使用する予定のないアカウントは削除する(突然不正利用されることもあり得るからです。)
- なりすましや乗っ取りに気づいたら一刻も早くサイト管理者に連絡して削除を要請する。
- 削除要請に応じてもらえない場合は、弁護士に相談する。
執筆: 弁護士 辻悠祐