印西市の救命講習に参加しました。

最終更新日: 2023年04月10日

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執筆: 弁護士 辻佐和子

1. 救命講習へ行こう

テレビで事故のニュースを見て、ふと思いました。

「心臓マッサージの練習を最後にしたのはいつだっけ?」

そもそもこれまでの人生で練習したことがあったかすら思い出せません。

なんとなく方法はわかっているような気でいましたが、これではいざという時に適切な人命救助ができないかもしれないと思い、消防署で救命講習を受けてきました。

ネットで調べるとすぐ出てくるのですが、各消防署では定期的に救命講習が実施されています。(ただし、消防署によるかもしれません。)

1月のよく冷えた土曜の朝、目指したのはでかでかと「119」が書かれた印西市の某消防署です。講習用の部屋に通されて講習テキストを受け取ります。

救命救急講習テキスト

これを眺めているうちに10人の参加者がそろいました。定員いっぱいです。

2. 救命処置の重要性

まずは講習テキストを使った講義から始まります。

救急隊到着までの時間が大切

救急車を呼んでから現場に到着するまでの時間は、全国平均で8.9分(令和2年中)です。この間に、居合わせた人が救命処置をすることで救命の可能性の減り方は緩やかになるそうです。

また、救急隊の到着前に電気ショックを行った場合と、救急隊が到着後に電気ショックを行った場合を比較すると、社会復帰率に大きな差があります。
① 救急隊の到着前に電気ショックを行った場合:約44%
② 救急隊が到着後に電気ショックを行った場合:約19%

つまり、「救急隊到着までの約9分間の救命処置がとても大事」というお話でした。

ちなみに、人工呼吸は難しい処置なので無理してやろうとせず、「とにかく胸骨圧迫を頑張ってください!」だそうです。

救命処置の流れ~心肺蘇生とAED~

そんな重要な救命処置の流れは次のとおりです。

① 安全確認
② 話しかけて反応を確認
③ 119番通報とAEDの手配
④ 呼吸の確認
⑤ 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
⑥ AED使用

3. 想定外の実践練習

講習が終わるといよいよ実践練習です!

一人1セットずつAEDと人間の上半身の模型が割り当てられ、「はい、人が倒れてますよ!」の合図で皆一斉に救命処置を始めます。

① まずは周囲の安全を確認、それから倒れている人に近づきます。

② 声をかけて、反応が無ければ声を大きくして肩を強めに叩きます。救命の意識が高まるあまり、「大丈夫ですか!!」(バンッバンッ)といきなり全力で話しかけてしまい、消防団の方に「あ、最初はやさしく…」と言わせてしまいました。焦らずいきましょう。

③ 声かけに反応がなければ、協力者を呼びます。「誰か来てくださいー!」これは大声で大丈夫です。来てくれた人たちに「あなたは119番通報してください」「あなたはAEDを持って来てください」と指示を出します。ここで「誰か」でなく人を指定するのが大事だそうです。

④ 胸部と腹部の上がり下がりを見て、「普段どおりの呼吸」をしているかどうか見ます。横から見るとわかりやすいです。普段どおりの呼吸がある場合は、様子を見ながら救急隊の到着を待ちます。

⑤ 「相手が人形なので当然呼吸もない」ということでいざ胸骨圧迫です。「胸の真ん中あたりを指さしてください」と言われたときにほとんどの人が指さす場所、そこを5 センチほど圧迫します。両手を重ねて強く速く絶え間なく続けます。

これはもうぜひ体験していただきたいのですが、人間(模型)の胸骨を圧迫するのは予想の3倍くらい力が必要です。そして予想の10倍の疲労がきます。

カチッと音が鳴るまで力を加えないといけないのですが、適当に体重をかけただけでは鳴りません。「人間の身体ってこんなに押してもいいんですか!?」というくらいに思い切り腕を突っ張って圧をかける必要があります。

この胸骨圧迫をほんの数分間行うと、もうへとへとです。周りを見ても完全に息が上がっています。

⑥ 「はいAEDが来ましたよ!」の合図で、「待ってました」とばかりにAEDを開封します。2枚の電極パッドを貼ると、自動的に心電図解析が始まり、必要と判断されると自動的に電気ショックが行われます。

講習で使用したAEDは開封すると音声で指示が流れるものでした。とっさのときでも手順がわかりやすそうです。また、AEDのセットには、身体が濡れている場合に水分を拭くタオルや、体毛を剃る剃刀なども入っていました。

AEDの電気ショックが終わったら、再び胸骨圧迫です。

「はーい、まだ救急車きませんよー!胸骨圧迫続けてくださーい!」と容赦ない声。運動部の練習を思い出しました。こちらの腕も限界です。

ちなみに「おさるのかごや」の拍に合わせると丁度良い速さ(1分間に100~120回)で胸骨圧迫ができると巷で言われていますが、その時の私の頭の中にはGet Wildが流れていました。

何度目かのサビの後、「はい、お疲れさまでしたー」の声でやっと終了です。「やれやれ疲れたが勉強になったな」と思ってみんな何となく片付けを始めたところで、「では2セット目いきましょう!!」。再び流れるGet Wild。

最終的に、一連の流れを4セットくらい行いました。

全てを終えるころ、特に会話はありませんでしたが参加者10名の気持ちは間違いなく一つになっていました。

「まさかこんなにハードだったとは…」

4. 救命講習のご予約はお早めに

他にも、回復体位を取らせる方法や、餅などが喉に詰まった人に対する処置、出血を止める処置など、有益なことをたくさん教えてもらいました。

そして頑張った甲斐あって、普通救命講習受講証を取得しました。3年更新なので、また3年後には更新したいと思います。

普通救命講習受講証

救命講習は思った以上に楽しかったです。土曜の朝に早起きした甲斐があります。しかも、良いことをしたような気がして(運動もして)さわやかな気分。みなさんも一度参加してみませんか?

2023年の2月にも、救命講習の受講者が人命救助をして消防本部に表彰されたニュースがありましたし、いつか役に立つかもしれません。「♪守れるものがどこかにあるさ」です。

しかしこの救命講習、実は超人気で、受付開始と同時に予約いっぱいになることもままあるとか。どうぞご予約はお早めに。

執筆: 弁護士 辻佐和子