民法改正~担保責任の改正~

最終更新日: 2020年05月12日

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執筆: 弁護士 辻悠祐

これまで、担保責任の法的性質について様々な議論がありました。

たとえば、債務不履行を観念できない特定物の給付の場合の不平等を是正して買主の信頼を保護するために法律が特別に定めた売主の責任であると考える見解や担保責任は債務不履行責任であると考える見解などです。

今回の民法改正では、下記のとおり改正されて、担保責任の法的性質は債務不履行責任であると整理されることになりました。

それによって、瑕疵という表現は、「契約の内容に適合しないもの」に改められ、法的な効果としても、履行の追完請求、代金減額請求、債務不履行責任の場合と同様に損害賠償請求や解除ができるようになりました。時効期間については、不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないといけないなど短いので注意が必要です。

(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

・・・

(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

・・・

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 辻悠祐