会社が危なくなったらどうしますか?

最終更新日: 2019年10月08日

カテゴリ:

執筆: 弁護士 前原彩

我が子のように手塩をかけて育ててきた会社の財務状況が悪化したらどうするか?と日頃から念頭に置いて経営をされていますか?「そんな不謹慎な」「縁起でもない」と思う経営者の方も多いと思います。

しかし日頃からその「万が一」を念頭に置いて経営をしているだけで、その万が一の時に会社や経営者の方を守ることができるのです。

会社の倒産

倒産って?

「会社が潰れた」という話はよく聞きますが、潰れたといってもその内容は様々です。

破産、会社再生、民事再生、私的整理、清算など多様な手法があるのであるが、世間一般ではこれらをひっくるめて「潰れた」と言われている場合が多いような気がします。

会社が危ない場合にとれる方法

「危ない」の程度にもよりますが、会社が危なくなった場合、その債務を整理する方法はいくつかあります。最も代表的なものは破産手続きです。これは会社の債務をゼロにして、会社自体を終わらせる一番わかりやすい手続きです。

他方会社を存続させる形での会社整理の代表的な手法は、私的整理、民事再生です。

この場合、債権者の理解を得て債務の一部を免除してもらいながら会社は存続させます。経営者の方がそのまま会社経営に携わっていられるのもこれらの特徴の一つです。

他にも会社更生や会社再生という方法もありますが、大企業が用いる手法のため、説明はカットします。

会社が危ないかもと思ったら

会社を整理する上で様々な方法があることは上に述べたとおりですが、重要なポイントは、いずれも「危ないかな」と思った時点ですぐに弁護士に相談した方がいいということです。

「そんなこと言って~またまた~」と思われるかもしれませんが、これは本当にそうなので、「危ないかもが浮かんだらすぐ弁護士」これ鉄則です。

破産をするにしても、最低限裁判所に支払う予納金(よのうきん)の準備が出来ていなければ、裁判所は破産の手続きを進めてくれません。その予納金の準備にも時間がかかる場合があります。また、親族からの借り入れは返していいのか、どの債権者に弁済したらいいのか、従業員への対応をどうするのか、など手続きにおいてあらかじめ作戦を練らないといけない事項が膨大にあります。

ギリギリになってご相談にお見えになった場合、①破産手続きにおいてやってはいけないことをやってしまっている、②予納金すら残されておらず破産するにもできない、③会社や家を残したいなどの経営者の方の最大の要望がもはや実現不可能な段階に至ってしまっている、というようなことが本当に良く起こります。

これが私的整理、民事再生の場合、さらに考慮しなければいけない事項、あらかじめ用意しなければいけない金銭が増えます。

このように、会社が危ないかもと頭をよぎった時点ですぐに弁護士に相談し、将来の会社の状況を見据えて、一緒にプランを練っていきましょう。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 前原彩