交通事故被害の経験
1. 交通事故被害の経験
交通事故は、ある日突然、平穏な日常を奪い去ります。けがの痛みはもちろん、将来への不安や加害者側への憤りなど、被害にあった方にしかわからない苦悩は計り知れません。
実は、私も小学2年生の時に交通事故を経験した被害者の一人です。
自転車で横断歩道を渡っているとき、左折車に巻き込まれ、5メートルほど飛ばされる大事故でした。ちょうど私の前を母が自転車で走行していたので、真っ青な顔で母が駆け寄ってきたのを今でも覚えています。
大腿骨骨折という重傷を負い、すぐに救急車で搬送され数ヶ月にわたる入院をし、何度も手術を受けました。

2. 私が直面した「3つの不安や不信感
事故にあった後、次のような不安や不信感が生まれました。
① 身体が元通りになるのかという不安
「一生歩けなくなったらどうしよう」「大好きだったスポーツができなくなるのでは」という恐怖です。
まだ若く、骨が丈夫だったこともあり、幸いにも後遺症は残りませんでしたが、その当時やっていた習い事(スイミング、空手、テニス)はすべて辞めることとなりました。
② 加害者側への不信感とモヤモヤ
この部分は記憶が曖昧なのですが、「何でこんなつらい思いをしなければいけないのか(事故にあったのは夏休みに入る直前でした)?」という怒りと、加害者の方と十分に接触する機会がなく、漠然とした不信感(というよりもモヤモヤとした気持ち)があったのを覚えています。
ただ、実際には、保険会社や両親から、加害者との接触を止められていたのかもしれません。
③ 自分を責めてしまう心理的負担
事故のせいで両親や兄にも大変な思いをさせてしまったので、「自分がもっと注意していれば」と、本来被害者であるはずの自分が自分を責めてしまうような気持ちに変わっていったのを覚えています。
3. 被害にあって変わったこと
他方、被害にあって変わったこともあります。
① 周りの人の優しさに気付いた
まず、周りの人の優しさに気づかされました。手術やリハビリは本当に辛く嫌だったのですが、家族、友達、病院の方々の支えもあり、何とか耐えられました。
子供心ながらに、支えてくれた方への感謝の気持ちでいっぱいでした。
② 車の動きを非常に注意するようになった
事故にあってから、非常に慎重に道を歩くようになりました。青信号で歩道を渡る際も、車の動きに最大限の注意を払いながら渡っています。
事故にあってから自転車にはほぼ乗れていませんでしたが、弁護士になる少し前くらいにようやく苦手意識を克服し、乗れるようになりました。
③ 被害者の気持ちを(ある程度)理解できる
弁護士になって交通事故案件を扱ってみると、当時の自分と同じような悩みを抱えている方が多く存在することが、身をもってわかりました。
「今後、この症状が一生残ってしまうのではないかと不安です」「加害者側(保険会社)の誠意が感じられない」「事故にあってから、車が怖くて運転できない」といった話を聞くたびに、「その気持ち、わかります!」と(心の中で)声を大にしています。
これからも、被害者のお気持ちに寄り添いながら、交通事故の案件に取り組んでいきたいと考えています。
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執筆: 弁護士 村岡つばさ