全国交通事故弁護団の研究成果の活用

最終更新日: 2017年12月07日

カテゴリ:

執筆: 弁護士 大澤一郎

1. 交通事故弁護団とは

交通事故弁護団は、巨大な保険会社に対抗するため、全国各地の経験豊富な弁護士が集まった団体です。次の3つの目標を掲げています。

① 保険会社への高額の損害賠償請求に成功するために高い技術をみがく。
遷延性意識障害脊髄損傷など、専門的で困難な事件に多数の弁護士で立ち向かう。
③ 被害者の方が心から安心して任せられる弁護士の団体にする。

定期的にシンポジウムを開催すると共に、交通事故被害の救済のための活動を各々の弁護団事務所が日々行っています。

関連情報

2. 交通事故弁護団シンポジウムに参加

2017年11月18日、東京国際フォーラムにて交通事故弁護団のシンポジウムを行いました。

交通事故弁護団でのシンポジウムの発表は、会員事務所以外非公開です。

そのため、内容の公表はできませんが、「交通事故に詳しい弁護士が悩みそうな問題点」について発表やディスカッションができました。大変有益なシンポジウムとなりました。

交通事故弁護団のコメント

3. 非該当・14級・12級の認定

医師は後遺障害認定の専門家ではないこと

よつば総合法律事務所では、むちうち・頸椎捻挫・腰椎捻挫等の神経症状について発表しました。具体的には、非該当・14級・12級の認定基準についての発表です。

非該当・14級・12級の認定基準はさまざまなポイントがあります。もっとも、医師は治療の専門家ではあるものの、後遺障害の認定基準の専門家ではありません。

「この患者さんは治らない」「この症状は治らない」と医師が判断しても、後遺障害になるとは限りません。

後遺障害の審査は「論より証拠」

後遺障害の審査は書面審査です。そのため、症状や医師の意見が、後遺障害診断書などの書面に適切に書いてあることが重要です。

たとえば、むちうちで12級になるには、次の条件が必要であることが多いです。
① MRI検査結果での異常所見
② 腱反射などの検査結果での異常
③ 検査結果に一致する自覚症状

実際に重い症状があっても、証拠がなければ後遺障害にはなりません。後遺障害の審査は「論より証拠」です。

4. 自賠責保険の後遺障害認定の審査の厳格化

後遺障害申請の事案が増えているため、自賠責保険の後遺障害認定の審査が厳しくなっているという意見も最近あります。

そのため、たくさんの過去の事例を元にしたうえでの、最近の状況に応じたアドバイスが交通事故の被害救済のために一層必要です。

特に、むちうちでは、不利になりやすいポイントに注意することが必要です。

たとえば、後遺障害診断書の自覚症状の欄が常時痛でなかったり、障害内容の憎悪・緩解の見通しの欄が改善や治癒見込みとなっていると、後遺障害になりにくいです。

5. 多数の弁護士の英知の結集

弁護士業界は専門化が進んでいます。交通事故は詳しい弁護士に相談したほうがよい分野の1つです。

全国交通事故弁護団のような、全国の交通事故に詳しい弁護士が集まって議論を行う場において英知を結集し、より社会の役に立つ弁護士、法律事務所を目指します。

執筆: 弁護士 大澤一郎