未払い残業代のリスク!

最終更新日: 2018年02月27日

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執筆: 弁護士 川﨑翔

医療機関も例外ではありません!

残業代の支払いに関する法令が守られてない場合、従業員から残業代の請求を受けることになるという点は皆さんご存知だと思います。残業代の請求については、今のところ2年という時効期間がありますが、今後5年に延長される可能性もあり、その上、未払いの残業代には利息が付いてしまいます未払い残業代には大きな金銭的リスクがあるのです。もちろん、上記のようなリスクも重要ですが、場合によっては行政からの処分等がありうることも忘れてはいけません。

まず、残業代未払いをはじめ、時間外労働に関する労使協定をきちんと締結していないといった労働基準法違反の事実がある場合、労働基準監督署から是正勧告を受けることがあります。この是正勧告は、労働基準法などの法令違反に対する行政指導ですが(行政指導自体に強制力はありません)、是正勧告を受けているという事実は企業の評判に関わります。

最近では、長時間労働への対策が十分に取られていなかった医療機関に対する是正勧告も増加しています。労働基準監督署による規制が強まっているといってもよいのではないかと思います。

報道されているだけでも、藤田保健衛生大病院(毎日新聞2017/12/26)、杏林大医学部付属病院(日経新聞2018/1/20)、北里大学病院(日経メディカル2018/1/24)、奈良県西和医療センター、奈良県立医科大病院(読売新聞2018/2/5)急増しています。医療機関といえば、人命救助のためある程度の長時間労働は仕方がないとされる傾向もありました。今はそのような時代ではないということなのでしょう。

それだけではありません。
昨年11月には、千葉県内の企業が従業員に対して違法な時間外・休日労働をさせた(労働基準法32条違反)という事実で書類送検されています。

長時間労働に関する法的リスクは以前より明らかに高まっています。
問題が生じる前に、長時間労働を抑制し、効率的な働き方をしてもらうようを検討していきましょう。ぜひ一度、会社の労働時間に関する状況を見直し、弁護士等の専門家に相談してみてください。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 川﨑翔