受動喫煙防止法が成立!店舗は何をすべきか?

最終更新日: 2018年10月11日

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執筆: 弁護士 前原彩

2020年の東京オリンピック開催を見据えて、今年7月18日、改正健康増進法(いわゆる受動喫煙防止法)が参議院本会議で可決されました。これは受動喫煙対策を目的とするものであり、不特定多数の人が利用する店舗等に受動喫煙防止のための一定の措置をとることを要求するもので、2020年4月1日から全面的に施行されます。
この受動喫煙防止法の施行を見据え、店舗はどのような措置をとるべきなのでしょうか。

そもそも受動喫煙防止法とは?

受動喫煙防止法は正式名称を改正健康増進法といいます。

2018年7月18日に成立したもので、主に受動喫煙の防止策の強化が盛り込まれています。改正の趣旨は「望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について…講ずべき措置等について定める」とされています(厚労省「健康増進法の一部を改正する法律概要」から引用)。

受動喫煙防止法施行でどうなる?

受動喫煙防止法は2020年4月1日に全面的に施行されます。

受動喫煙防止法の内容は以下のとおりです。

  1. 学校、病院、保育園等の児童福祉施設等、行政機関、旅客運送事業自動車(バス、タクシーなど)、航空機は禁煙or敷地内禁煙。屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に喫煙場所を設置する必要あり。
  2. 事務所、飲食店では、原則屋内禁煙。飲食不可の喫煙専用室内での喫煙は可能。
  3. 当面の間、事務所、飲食店では、加熱式タバコの場合には、飲食できる喫煙室での喫煙可。
  4. ただし、経過措置として法律で定めるまでの間、個人または中小企業で100㎡以下の飲食店については、喫煙可能の標識の掲示により喫煙室ではなくとも、喫煙可能(従業員を含む20歳未満の者の立ち入りは禁止)。
  5. 店舗や資本金の規模にかかわらず、新規店舗については規制の適用を受ける。

このように、原則の他にたくさん例外が設けられており、規制を巡っては現在複雑な状態になっています。

資本金5,000万円以下の中小企業かつ100㎡以下の飲食店の場合には、別に法律が制定されるまでは、標識の掲示によって喫煙可能となりますので、喫煙可能にしている場合には、標識の用意を忘れないようにしましょう。

千葉市は国より厳しい基準!

国の規制とは別に、地方公共団体が受動喫煙防止について規制を定めている場合があります。千葉市の場合には、条例において国よりも厳しい基準が求められていますので、注意が必要です。千葉市の場合、国の基準と異なり、

100㎡以下の飲食店であっても従業員がいる場合には、喫煙専用室を設けない限り禁煙(ただし、風営法適用店舗は当面の間努力義務)。

改正健康増進法の場合、喫煙不可になる千葉市内の飲食店は8%に過ぎませんが、千葉市の条例の場合には、なんと千葉市の飲食店の約66%がその対象となります。2020年4月1日の施行からどの程度徹底して罰則が科されるか不明ですが、千葉市の飲食店(ただし、風営法適用店舗を除く)の方は、店内禁煙にするのか、専用室を設けるのかの対応を迫られることとなります。

まとめ

受動喫煙に関しては、世界的にこれを防止しようという流れになっています。

今後規制が厳しくなっていくことも考えられますので、早めの対策をおすすめします。

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。

執筆: 弁護士 前原彩