建物明渡認容判決を得た後の強制執行の流れ
1. 建物明渡の判決後の手続きは?

建物の明渡しを認める旨の判決を獲得したものの、その後の法的手続がどうなるかについてご質問をいただくことが多いです。
そこで、今回は、判決後の強制執行という手続の流れを簡単に解説します。
2. 判決を獲得しただけでは相手を追い出せない?
建物の明渡請求事件において、長い時間をかけてようやく裁判所から「借主は建物を明け渡せ」といった判決を得たとします。
しかし、その判決を「錦の御旗」に賃貸人が当該物件に立ち入って、借主を出て行けと引っ張り出したり、荷物を強制的に出したりすることはできません。
判決後、賃貸人は、強制執行という法的手段を使うことによって、自己の権利を実現することができます。
強制執行手続は、勝訴判決を得たり、相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず、建物などの明渡しをしなかったりしたときに、判決などを得た方の申立てに基づき、明渡しを裁判所の執行官が強制的に実現する手続です。
3. 強制執行申立ての必要書類
強制執行に必要となる主な書類は次のとおりです。
② 執行文
③ 送達証明書
① 債務名義
債務名義とは、給付請求権(相手に特定の行為を要求できる権利)の存在と内容を表示している国が公に認めた文書(民事執行法22条)です。たとえば、確定判決や和解調書(裁判所での和解内容を示した書類)などです。
② 執行文
執行文とは、債務名義の執行力が現存することおよび執行力の内容(存在及び範囲)を証明する文章(文言)です。
申立人が相手方に対し、その債務名義によって強制執行することができる旨を、裁判所書記官や公証人といった執行文付与機関が債務名義の正本の末尾に付記する方法(書き加える方法)で付与します(民事執行法26 条2項)。
要するに、債務名義に強制執行の効力を持たせるために要求される手続が執行文の付与です。
執行文は、裁判所に申請して取り寄せます。
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③ 送達証明書
送達証明書とは、債務名義が、強制執行の開始に先立ってまたは執行開始と同時に相手方に送達されていること(書類が届いていること)を示す書面です。
送達証明書は、裁判所に申請して取り寄せます。
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4. 強制執行の申立てへ
必要書類をそろえたら、強制執行の申立てを物件の所在を管轄する執行官(裁判所の職員)に対して行います。
申立てがなされた後、執行官は目的物件の相手方が実際に居住するなどして占有しているかを確認したうえで、引渡期間及び強制執行実施予定日(断行日)を催告(予告)します。
相手方が断行日までに任意の明渡しをしない場合には、執行官は断行日に現地の建物に出向いて居住者を退去させます。
建物内の物品(残置物)については、執行官が搬出して一定期間保管し、その後に売却や廃棄などの処分手続きを進めます。なお、建物内の残置物が無価値物である場合は、執行官の保管はなされずに、そのまま廃棄処分の扱いとなることもあります。
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5. まとめ:悩んだら弁護士に相談
判決獲得後の強制執行では、様々な手続きが必要です。裁判所で判決を取得するだけでは、建物の明渡しは実現できません。
悩んだら、詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。
執筆: 弁護士 川田啓介