マンション滞納管理費②~相手が既に死亡していた場合はどうすれば良いの?
1 はじめに
マンションの管理費滞納の件で相談を受ける機会が増えております。そこで今回のブログでも、マンションの管理費等滞納に関する問題についてお届けします。
2 とある相談事例
当マンションにはマンション管理費等の滞納のトラブルがあるのですが、その滞納者が既に死亡していたことが判明しました。滞納された管理費について当組合は今後どのように対応すればよいのでしょうか。
3 相続人を調査する必要があります!
管理費を滞納していた区分所有者が死亡した場合、その区分所有者としての権利と滞納された管理費は、相続人に相続されることとなります。そのため、請求する側としては、まず相続人を調査する必要があります。
4 相続放棄の有無を確認します!
相続人が確定したとしても、その相続人が相続放棄を行っていた場合は、相続放棄した相続人に対して滞納された管理費を請求することはできません。そこで、請求する側としては、死亡した区分所有者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、相続放棄の申述の有無について照会することとなります。
仮に相続人が滞納された管理費の支払い債務についても相続しているのであれば、その相続人に対して滞納された管理費の支払いを求めていくこととなります。
相続人から滞納管理費の全額を回収できない場合には、確定判決を経たうえでその部屋を競売にかけ回収を図る方法もあります。
5 相続人が全員相続放棄していた場合は、相続財産管理人の選任を検討します!
相続人が全員相続放棄していた、あるいは死亡していた場合は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対して、相続財産管理人の選任を申立て、選任された相続財産管理人に対して、滞納された管理費を請求することを検討することとなります。
しかし、相続財産管理人選任の際の予納金は、10万円から多いと100万円以上かか
るケースもあるため、この手段を選ぶかどうかについては、慎重な検討が必要です。
6 最後に
以上のように相手方が死亡している場合には、様々な法律上の問題点があります。同様の問題でお困りの方は、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
執筆: 弁護士 松本達也