動物病院の広告を出すときの注意点①

最終更新日: 2022年01月12日

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執筆: 弁護士 松本達也

1 はじめに

動物病院が広告を出す際には、獣医療法上の広告規制や、薬事法、景品表示法による広告規制が存在します。様々な広告規制のうち、本日は、動物病院の獣医療法上の広告規制について、ご紹介させていただきます。

2 ポイント①「獣医療法17条で広告規制があります」

獣医療法17条は、広告に関する規制を定めています。
(広告の制限)
第十七条何人も、獣医師(獣医師以外の往診診療者等を含む。第二号を除き、以下この条において同じ。)又は診療施設の業務に関しては、次に掲げる事項を除き、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告してはならない。
一 獣医師又は診療施設の専門科名
二 獣医師の学位又は称号
2 前項の規定にかかわらず、獣医師又は診療施設の業務に関する技能、療法又は経歴に関する事項のうち、広告しても差し支えないものとして農林水産省令で定めるものは、広告することができる。この場合において、農林水産省令で定めるところにより、その広告の方法その他の事項について必要な制限をすることができる。
3 農林水産大臣は、前項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、獣医事審議会の意見を聴かなければならない。

すなわち、原則として獣医師は、獣医療法17条1項によって、獣医師又は診療施設の専門科名と獣医師の学位又は称号を除いて、その技能、療法又は経歴に関する事項を広告することが出来ません。

当該規制は、獣医療に関する広告によって、飼育者が惑わされ、不測の損害を被ることがないようにという目的で定められています。

この広告規制には、例外が存在していますので、その内容については、次回のブログにて記載したいと思います。

3 ポイント②「広告ってどういうものを指すのか」

獣医療に関する広告については、獣医療に関する広告の制限及びその適正化のための監視指導に関する指針(通称 獣医療広告ガイドライン)が策定されています。

ではここでいう広告とはどのようなものを示すのかということですが、獣医療広告ガイドラインによると下記のように定義されています。

① 広告とは、随時に又は継続してある事項を広く知らしめるものであり、次のアからウまでの全ての要件に該当すると飼育者等が認識できる場合には、法第17条の規定による広告制限の適用を受ける広告に該当するものである。
ア 誘引性:飼育者等を誘引する意図があること
イ 特定性:獣医師の氏名又は診療施設の名称が特定可能であること
ウ 認知性:一般人が認知できる状態にあること

② 広告制限の対象となることを避ける意図をもって、例えば、「これは広告ではありません。」、「これは取材に基づく記事であり、飼育者等を誘引するものではありません。」との表現を行う者があることが予想される。しかしながら、診療施設の名称が記載されている、診療施設の名称がなくとも住所や電話番号等から診療施設が特定可能であるなど、実質的に①に掲げたアからウまでの要件を全て満たす場合には、広告に該当するものとして取り扱う。

③ 広告については、直接的に表現しているものだけではなく、関連する情報物を全体でみた場合に、暗示的又は間接的に広告であると一般人が認識し得るものも含まれる。例えばキャッチフレーズ、写真、イラスト、新聞・雑誌の記事の引用、伏字や暗示的表現等であっても①のアからウまでの全ての要件に該当する場合は、広告に該当する。

4 ポイント③ 具体的にどんなものが広告に該当するのか?

ガイドラインで具体的事例として広告に該当するものとしないものが紹介されていますので、以下にご紹介していきます。

① 広告に該当すると考えられる例
テレビCM、ラジオCM、新聞広告、雑誌広告、看板、ポスター、チラシ、ダイレクトメール(ハガキ等)、インターネットの広告サイト(バナー広告も含む。)等

② 広告とはみなされないものの例
ア 学術論文、学術発表等
イ 新聞、雑誌等の記事
(飼育者等を誘引するいわゆる記事風広告は、広告とみなすとされている。
ウ 体験談、手記等
(当該診療施設が個人の体験談、手記等を利用しパンフレット等に掲載した場合は、「誘引性」を有するものとして扱うことが適当であると考えられている。
エ 診療施設内掲示、診療施設内で配布するパンフレット等
(診療施設の外から容易に見ることができるなど、その情報の受け手が限定されない場合は「認知性」を有するものとして扱うことが適当であると考えられている。) 
オ 飼育者等からの申出に応じて送付するパンフレット、電子メール等
(希望していない者に送付されるパンフレット、ダイレクトメール等については、「認知性」を有するものとして扱うこととされている。)
カ 診療施設の職員募集に関する広告
キ インターネット上のホームページ
(インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや広告サイトで表示されるものなどは、広告としてみなされることもある)
ク 行政機関の公報又はポスター

5 最後に

以上のように、獣医療法上の広告の規制は、飼育者保護の観点から厳格に定められ運用されています。また、獣医療法17条1項の規定に違反した場合は、第20条2号によって 50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。広告について心配な動物病院様は、広告を掲示する前に、一度専門科か行政に相談されることをお勧めいたします。

広告規制については、次回のブログでさらに記載させていただきます。

執筆: 弁護士 松本達也