放置自動車を撤去するにはどうすれば良いのか?

最終更新日: 2022年03月23日

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執筆: 弁護士 松本達也

1 はじめに

管理組合様若しくは管理会社様から敷地内に放置自動車があるという相談も多いです。そこで今回のブログは、放置自動車を撤去するにはどうすれば良いのか?というテーマでお届けいたします。

2 具体的な相談事例

初めまして、○○マンション管理組合の△△です。当マンションには、駐車場が併設されているのですが、その敷地内に放置自動車があります。貴重な駐車スペースが1台分使われてしまってとても困っています。

この自動車を撤去するにはいったいどのような手段をとればよいのでしょうか?

3 まずは警察に相談しましょう!

警察は私有地にある放置車両を撤去することは出来ません。

しかし、仮に放置された自動車が盗難車などの事件性がある車であれば、警察が確認することによって所有者が判明するというケースもあります。

警察は民事事件には介入しませんので最終的にはこちらが撤去することになることがほとんどですが、警察には一度相談しておきましょう。

4 自動車の所有名義人の調査が必要となります!

駐車場の利用者に対して駐車場利用契約を解除したうえで駐車区画の明渡しを催告するのが出発点となります。

もっとも、このような催告は、既に管理組合の方も行っているケースがほとんどで、実際には無視され続ける、あるいは既に連絡が取れない状況に至っていることがほとんどです。

管理組合として、このような放置車両を勝手に撤去し廃棄したくなるお気持ちはよくわかりますが、このような行為を行うことは、「自力救済」となってしまい、車の所有者から損害賠償請求を受ける可能性がありますので、冷静に対応しましょう。

まずは、自動車登録について調査し所有名義を確認し、所有者に対して撤去を求めることとなります。

自動車登録の調査は、対象車両が普通自動車である場合は、陸運局で登録事項証明書を取得するという方法で調査することとなります。

陸運局は、車体番号が分からなければ調査に応じないのが原則となりますが、放置車両の場合は、①放置車両の場所を明確にすること②放置車両の場所の見取り図を添付すること③放置されている期間を明らかにすること④放置されている車両の写真を添付すること、によって調査可能です。

5 訴訟提起を行いましょう!

調査によって発覚した所有者に対して、撤去を求める通知を発送し、これに応じない場合は訴訟を行うこととなります。

訴訟を提起し、判決が確定した場合は、ようやく強制執行手続きによって、強制的に自動車を廃棄または撤去するという手段をとることが出来るようになります。

6 最後に

放置自動車を撤去するためには、法的手順をきちんと踏襲する必要があります。このブログをご覧いただいた皆様は、トラブルに発展してしまう前に、まずは一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

執筆: 弁護士 松本達也