千葉県税理士会様よりお声がけいただき、士業事務所の労働問題とその対策についての研修を実施しました。村岡を含む、千葉県弁護士会労働問題対策委員会に所属する弁護士3名で講師を務めました。
村岡は、「士業事務所が知っておくべき労働法の基礎知識」パートを担当しました。
大勢の税理士の先生方にご参加いただきました。ご参加いただいた先生方、ありがとうございました。
研修を開催した背景と目的
一般企業だけでなく、弁護士、税理士、社会保険労務士などの士業事務所においても、労務問題が顕在化することがあります。
特に士業事務所では、「有資格者と事務職員」や「代表と他の有資格者」とで、大幅なパワーバランスの偏りが生じているケースも多いです。
そのため、一方的な労働条件の引き下げや解雇、各種ハラスメントなどの労働問題が生じやすい環境にあることは否定できません。
こうした背景・問題意識もあり、千葉県税理士会様より、「士業事務所の労働問題に関する研修を実施して欲しい」とのオファーを頂戴しました。
今回の研修が、ご参加いただいた先生方にとって少しでも有益なものとなりましたら、大変幸いです。
セミナーの内容
セミナーの全体像
セミナーの全体像は次のとおりです。
- アンケートから見る士業事務所の労務トラブルの動向
- 士業事務所が知っておくべき労働法の基礎知識
- 士業事務所での紛争実態
そして「士業事務所が知っておくべき労働法の基礎知識」のパートを村岡が担当しました。
士業事務所が知っておくべき労働法の基礎知識の全体像
労働法の基礎知識パートでは、特に士業事務所で問題になりやすい以下の5つの項目につきお話ししました。
① 採用面接に関する基礎知識
② 採用・雇用契約に関する基礎知識
③ ハラスメントに関する基礎知識
④ 有休に関する基礎知識
⑤ 解雇に関する基礎知識
① 採用面接に関する基礎知識
士業事務所のお客様より、次のような質問をいただくことが多いです。
- そもそも採用面接で、聞いてよいこと、聞いてはいけないことはあるか?
- 本人の病歴を面接時に聞いてもよいのか?
また、士業事務所の面接を受けた労働者側より、「採用面接時に、結婚の予定や出産後の予定を聞かれた」旨の相談を受けたこともあります。
そこで、採用面接で聞いてよいこと、聞いてはいけないことを中心に、採用面接に関する注意事項や基礎知識を解説しました。
② 採用・雇用契約に関する基礎知識
会社側の立場で労働事件を多く扱う中で思うことは、労働問題の大半は、「採用の問題」であるということです。採用時の「ミスマッチ」や採用時の「労働条件」が、その後の労働問題の大きな原因になっているケースが多いです。
この項目では、雇用契約の定義の説明や、採用時の会社の義務である「労働条件明示義務」の説明を行うとともに、よくある落とし穴についても説明しました。
③ ハラスメントに関する基礎知識
特に士業事務所では、「有資格者と事務職員」や「代表と他の有資格者」とで、大幅なパワーバランスの偏りが生じているケースも多いです。そのため、士業事務所のハラスメントトラブルは少なくありません。
ここでは、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントを中心に、法律のルールや定義の説明、士業事務所として注意すべきことなどを解説しました。
④ 有休に関する基礎知識
労働基準法の改正により、10日以上有給休暇が付与されている労働者に対しては、年5日間は有給休暇を「必ず取得」させなければならなくなりました。
しかし、そもそもこの法改正を知らない士業事務所や、「代わりの人がいない」ことを理由に、有給休暇を使えない士業事務所も多いのが実情です。
ここでは、有給休暇の基本的ルールや注意点を解説しました。
⑤ 解雇に関する基礎知識
士業事務所での解雇のトラブルも多いです。先に見たパワーバランスの偏りに加えて、「小規模な事務所が多い」ことも理由でしょう。
ここでは、解雇の基礎知識や、解雇事案のよくある落とし穴、解雇で負けた場合のダメージなどについて説明しました。
おわりに
よつば総合法律事務所では、今回の税理士会様の研修をはじめ、士業向けの研修講師を多く担当しております。たとえば、次のような研修がございます。
① 税理士様向け研修等
② 社会保険労務士様向け研修等
③ 弁護士向け研修等
他多数
よつば総合法律事務所では、多数の研修やセミナー講師をしています。セミナー・研修講師のご依頼の希望がございましたら当事務所までお問合せください。
また、よつば総合法律事務所では、多くの士業事務所様より顧問契約をご依頼いただいており、士業事務所専門の顧問サービスもご用意しております。個別の課題がありましたらお気軽にお問合せください。