使用者側弁護士が語る!なぜ会社は「負けた」のか?5つの敗訴事例から学ぶ労務管理の手法

開催日時:
2021年09月16日 16:30 〜 17:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
加藤 貴紀 加藤 貴紀のプロフィール
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
対象者:
企業経営者や人事労務担当者様

使用者側弁護士が語る!なぜ会社は「負けた」のか?5つの敗訴事例から学ぶ労務管理の手法

セミナー報告

企業経営者や人事労務担当者様を対象として、残業代解雇ハラスメントの具体的な事案を元にして、会社が負けた理由と労務管理の手法を解説しました。具体的には次のような内容です。

  1. 業務委託契約ではなく雇用契約となってしまった残業代の事案
  2. 固定残業代が無効となった残業代の事案
  3. 普通解雇が無効となった事案
  4. 懲戒解雇が無効となった事案
  5. セクハラに関連する自然退職処理が無効となった事案

多くの企業経営者や人事労務担当者様にご参加いただきました。

セミナーを開催した背景と目的

労働者の権利意識の変化からか、特にここ数年、労働トラブルのご相談が非常に多くなっています。

特に、解雇や残業代のトラブルは、多額の金銭的負担が会社に生じる可能性があります。企業の存続自体をゆるがす問題にもなりかねません。

そこで、今回のセミナーでは、5つの敗訴事例を題材に、企業側の労働問題を多く扱っている弁護士が労務管理の手法を解説しました。

セミナーの内容

1. 業務委託契約ではなく雇用契約となってしまった残業代の事案

業務委託契約のときは残業代を支払う必要はありません。他方、雇用契約のときは残業代を支払う必要があります。

そして、2つの契約は契約書の題名だけではなく実態をもとに判断します。つまり、業務委託契約という題名でも、労働基準法に定める労働者にあたるときは残業代が発生するので要注意です。

2. 固定残業代が無効となった残業代の事案

固定残業代とは、一定時間分の時間外労働等に対して定額で支払われる割増賃金です。たとえば、月10時間分の固定残業代で月3万円というようなものです。

次のような事情により、固定残業代の制度が有効かどうかは変わってきます。

  • 入社時の雇用契約書等の有無や内容
  • 社内規程(就業規則・賃金規程)、給与明細の有無や内容
  • 固定残業代制度の内容や導入の経緯
  • タイムカード等の労働時間が確認できる資料の有無や内容
  • 実際の支払実績

固定残業代は専門的な判断が必要です。悩んだら人事労務の問題に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

3. 普通解雇が無効となった事案

会社にとって解雇が認められるハードルは高いです。

今回は、協調性がないという理由による解雇の事案を元にして、労働審判で会社が負けてしまった経緯などを解説しました。

解雇は専門的な判断が必要です。解雇をする前に人事労務関連の問題に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

4. 懲戒解雇が無効となった事案

会社にとって懲戒解雇が認められるハードルは高いです。

今回は、架空発注や経費の不正利用の疑いがあった懲戒解雇の事案を元にして、労働審判で会社が負けてしまった経緯などを解説しました。

5. セクハラに関連する自然退職処理が無効となった事案

セクハラの被害を主張する社員の休職期間が経過したため、休職期間満了による自然退職処理をした事案を解説しました。

セクハラの事案では、証拠を元にした事実関係の把握や労災の可能性の検討が必要です。悩んだら、人事労務に詳しい弁護士への相談をおすすめします。