カウンセラーが知っておきたい!法律のこと~離婚、借金、職場の問題~(2021/10/3)

開催日時:
2021年10月03日 9:30 〜 12:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
一般社団法人日本産業カウンセラー協会 東関東支部
講師:
辻 悠祐 辻 悠祐のプロフィール
対象者:
産業カウンセラー

カウンセラーが知っておきたい!法律のこと~離婚、借金、職場の問題~(2021/10/3)

セミナー報告

内容

産業カウンセラーの方を対象に、現場で遭遇しうる法律問題、離婚、DV、借金、職場の問題(解雇、残業代、労災など)について解説しました。

講義では、法律的なお話の他に、次の点を中心に説明しました。
① カウンセラーとして実際に相談を受けたときにつなげるべき案件かどうかの見極め・基準
② 相談者が不安に思っているポイント
③ どこにつなげればいいのかの着眼点

概要

1. 講義の目的

(1) 離婚、DV、借金、職場トラブル等のカウンセラーに身近な法律問題について正確な知識の習得
(2) 適切な専門家を紹介先として紹介する場合の基準の習得

2. カウンセラーが知っておきたい!離婚・DVの法律問題

(1) 離婚問題を整理する3つのポイントを解説しました。①離婚②子ども③お金です。
①離婚するかどうかの問題
相談者が離婚をしたいのかどうかは重要なポイントであることを説明しました。離婚までは考えておらず、話を共有したいだけのときは、弁護士に相談することはあまり向いていません。相談者が離婚したいときの方法は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
②未成年の子供の親権者をどちらにするのかの問題
未成年者の子供の親権をどちらにするのかの問題は、子供の意向、現在の状況などが重要であることを説明しました。ただし、子供が幼いときは、子供は自らの意向を伝えることが困難なことから、看護環境などが特に重視されます。
③お金のこと
お金の問題も、養育費、婚姻費用、財産分与、慰謝料、年金分割の問題があることを説明しました。養育費は原則子供が成人までの子供についての費用で、婚姻費用は離婚成立までの生活費です。

財産分与は婚姻後に得た財産を原則半分にして分ける手続であること、慰謝料は離婚に際して不貞など非がある側が支払う金銭であることを説明しました。

(2) 離婚問題を解決したい相談者が弁護士に問い合わせをしたいときは、お近くの法律事務所、弁護士会、法テラスなどがあることを説明しました。離婚の合意書をしっかり公正証書にしたいときは公証役場もあります。
(3) DV事例の相談者のときは、緊急性が高いので一刻も早く安全なところに移転することが重要だと説明しました。あわせて、DV被害を受けた方の各種相談窓口も解説しました。

3. カウンセラーが知っておきたい!借金と法律問題

(1) 借金の返済が滞ったときの影響を説明しました。たとえば、①差し押さえなど財産への影響②職場への督促電話など就業先への影響③保証人への影響などです。
借金の返済が滞っている方は不安な状態であること、返済が滞ることで生活に影響が出てくる可能性があること、借金の問題解決は話の共有だけでは解決できないため、弁護士などの専門家に相談のうえで適切な方針を早期に立てることが重要であることを解説しました。

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(2) 借金の整理の手続は、次の3つがあることを説明しました。それぞれの手続の流れとメリット・デメリットも解説しました。

① 任意整理の特徴

  • 正確な借金額の計算などを行ったうえで、弁護士などに代理人となってもらって交渉
  • 改めて返済条件を合意し、返済していく手続であること
  • 業者と交渉をする手続であり、裁判所を利用しない手続であること

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② 自己破産の特徴

  • 借金の返済ができなくなったときに、裁判所への申立てをする方法
  • 財産の処分や整理などをしたうえで、免責が相当であれば借金の総額を帳消しにすることが可能となる手続であること

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③ 個人再生の特徴

  • 借金総額が5,000万円以下(住宅ローンなどは除く)で、将来的に安定した収入が見込めるときに、裁判所への申立てをする方法
  • 借金の一部が返済免除となり、残りの借金を返済していく手続であること

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4. カウンセラーが知っておきたい!会社と従業員との法律問題

(1) 会社と従業員のトラブルについて、残業代、労災、解雇、ハラスメントのテーマについて、具体的な事例を踏まえて説明をしました。
(2) ハラスメントの代表例である、パワハラ・セクハラ・マタハラについて、意味や具体例、気を付けるべきポイントを説明しました。
(3) 労務トラブルの相談先として、弁護士、労働基準監督署などがあることを説明しました。

5. 感想

参加者の皆様は真剣に講義を聞いてくださり、休憩時間には質問にくるなど熱心な方が多いセミナーでした。

産業カウンセラー向けのセミナーは定期的に開催していますが、毎回熱心に聞いていただいています。講師としても非常に嬉しいです。

産業カウンセラーと弁護士では、ヒアリングの視点が異なります。今回のセミナーでは、弁護士の視点も説明しましたので、どのような事例で他の専門家につなげばいいのかなど日常の相談業務にお役立ていただけると幸いです。