知って差がつく!交通事故に詳しい治療院としての、事故患者様のよくある質問と回答の作法

開催日時:
2017年10月14日
セミナー分類:
交通事故
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
粟津 正博 粟津 正博のプロフィール
根來 真一郎 根來 真一郎のプロフィール
対象者:
整骨院の先生

知って差がつく!交通事故に詳しい治療院としての、事故患者様のよくある質問と回答の作法

セミナー報告

知って差がつく!交通事故に詳しい治療院としての、事故患者様のよくある質問と回答の作法

セミナーの内容は次のとおりです。

  1. 保険会社の常識を知る
  2. 初診時によくある質問(損害賠償)
  3. 初診時によくある質問(加害者無保険等)
  4. 初診時によくある質問(保険会社との交渉等)
  5. 初診時によくある質問(警察対応)

セミナーを開催した背景と目的

交通事故患者を増やし、交通事故患者の満足度を上げることが整骨院経営にとって重要です。そこで、交通事故患者からのよくある質問を解説するセミナーを開催しました。

セミナーの内容

1. 保険会社の常識を知る

任意保険会社が被害者に代わって治療費の支払いをすることを一括払いと言います。一括払いの制度を解説しました。

そのうえで、一括払いをしていた保険会社が治療費(施術費)を打ちきりたいと考えるのは次のようなときであることを解説しました。
① 損害額総額が自賠責保険の範囲である120万円を超える場合
② 事故態様が軽微な場合
③ 症状が軽微な場合

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2. 初診時によくある質問(損害賠償)

整骨院の先生が、交通事故の患者さんからよく受けるであろう損害賠償の質問を解説しました。

Q 交通事故ではどんなものが賠償されるのですか?
A 治療費や施術費の他、慰謝料、休業損害などが賠償されます。
Q 保険会社が1か月で治療と施術を打ち切りだと主張しているのですが・・・?
A 因果関係のある治療費及び施術費が賠償の対象となります。保険会社が判断するものではありません。
Q 整骨院までタクシーを使って通院したいのだが、保険会社がダメだというのです。どうにかなりませんか?
A 必ずタクシー代が賠償されるとは限りません。自家用車を運転できない具体的な理由、公共の交通機関を利用できない具体的な理由が必要です。

Q 慰謝料は出ますか? 出るのだとすればどうやって計算するのですか?
A 通院日数や期間に応じて慰謝料は出ます。計算方法には自賠責保険や裁判の基準があります。

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Q 主婦なのですが休業損害は出るのでしょうか?
A 家事ができなかった部分の休業損害が出ます。

Q パート主婦なのですが休業損害はどうすればいいですか、会社に証明書を書いてもらった方がいいのですか?
A 主婦としての休業損害とパートとしての休業損害の高い方を請求できます。判断に悩んだときは弁護士への相談をおすすめします。

Q 自営業なのですが、休業損害の計算方法を教えて下さい。
A 確定申告などから事故前の所得額を確認して1日あたりの基礎収入を算出します。そのうえで、休業した日数をかけることにより計算します。

Q 後遺障害慰謝料って何ですか?
A 被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償です。入通院慰謝料症状固定までの慰謝料です。後遺障害慰謝料は後遺障害に対する慰謝料です。
Q 逸失利益って何ですか?
A 被害者に後遺障害が残り、労働能力が減少するため、将来発生したはずの収入が減少したことです。事故前の収入×労働能力喪失率×その状態が継続する期間で計算します。

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3. 初診時によくある質問(加害者無保険)

整骨院の先生が、交通事故の患者さんから加害者が無保険であったときによく受けるであろう質問を解説しました。

Q 追突事故にあいました。加害者が任意保険に入っていませんでした。どうすればいいですか?
A ご自身(被害者)の側で、人身傷害保険労災保険など使える保険がないか検討してみて下さい。

加害者が自賠責保険だけは加入していた場合でも、人身傷害保険や労災保険を利用することが多いです。

Q 会社が労災保険の手続きをしてくれない。どうすればいいですか?
A 労働基準監督署に対し、会社に労災の証明をしてもらえなかった事情等を記載した文書を添えて、請求書を提出しましょう。
Q 労災保険と自賠責保険のどちらを使えばいいの?
A どちらも使えます。判断に悩むときは弁護士への相談をおすすめします。 
Q 加害者がひき逃げです。どうしようもないんでしょうか。
A 警察の捜査を待つほか、ご自身の保険、労災保険、政府保障事業を使っての治療等を検討して下さい。

4. 初診時によくある質問(保険会社との交渉等)

整骨院の先生が、交通事故の患者さんから保険会社との交渉等についてよく受けるであろう質問を解説しました。

Q 私にも過失があるのですが施術はお願いできますか?保険会社から過失があるので一括対応はできないと言われました。
A ケースバイケースですが、過失割合に争いがある場合、過失が大きい場合に一括対応を断られるケースがあります。

過失割合を慎重に検討する他、人身傷害補償保険の適用の有無を調べてみましょう。

Q 私にも過失のある事故です。保険会社から健康保険を使うと有利と言われたけど本当ですか?
A 自らに過失があるときは、健康保険を使うと有利になることもあります。

健康保険の利用の有無は専門的な判断が必要です。悩んだら交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

Q 病院を変えたいです。保険会社は対応してくれますか?
A 転院は可能です。事前に保険会社と調整をしておくとトラブルになりにくいでしょう。

5. 初診時によくある質問(警察対応)

整骨院の先生が、交通事故の患者さんから警察対応についてよく受けるであろう質問を解説しました。

Q 加害者から人身事故の届出をしないでくれと言われています。
A けがをしていれば人身事故の届出をおすすめします。ただし、物件事故だからといって治療費や慰謝料が支払われないわけではありません。

Q 人身事故にするとどれくらいの刑事罰になるの?
A もっとも基本となる犯罪名は過失運転致死傷罪です。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条

法定刑は7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金刑です。

Q 物件事故にするとどれくらいの刑事罰になるの?
A 残念ながら、刑事上、過失によって物を壊した場合を処罰する規定はありません。
Q 人身事故の切り替えはいつでもできますか?
A 事故から日時が経ちすぎると警察に事実上拒否されるケースもあるようです。早目の切り替えをおすすめします
Q 加害者の刑事罰が知りたいですがどうすればよいですか?
A 被害者等通知制度を活用しましょう。担当検察官に処分結果を知りたいと申し入れて下さい。