交通事故診療における法的諸問題

開催日時:
2019年02月07日 17:00 〜 18:00
セミナー分類:
交通事故
主催:
千葉県損害保険医療協議会
講師:
前田 徹 前田 徹のプロフィール
対象者:
医師、医療機関の事務職員、損害保険会社の社員

交通事故診療における法的諸問題

セミナー報告

医師、医療機関の事務職員、損害保険会社の社員など約80名を対象とした自賠責保険研修会で研修講師を担当しました。

「交通事故診療における法的諸問題」というテーマで、交通事故診療に関連して発生する法的問題を、Q&A形式でお話ししました。

具体的には、医療関係者の方々に知っておいていただきたい交通事故診療に関する問題を解説しました。

  1. 交通事故診療と健康保険
  2. 裁判所からの問い合わせへの対処
  3. 弁護士会からの問い合わせへの対処
  4. 警察からの問い合わせへの対処
  5. 診断書や後遺障害診断書の記載の注意点
  6. 医療類似行為の問題
  7. 交通事故賠償の基礎知識

セミナーを開催した背景と目的

よつば総合法律事務所では、医療機関やクリニックの顧問弁護士を多くお取り扱いしています。その中で顧問先の医師や医療機関の事務職員から、交通事故診療にまつわる質問を受けることが多くありました。

そうしたところ、千葉県損害保険医療協議会の方から、交通事故診療にまつわる法的諸問題を解説して欲しいというお話をいただきました。

日ごろから医療機関の皆様からの質問が多い問題を解説することで、スムーズに業務を進めていただきたいと思い、本セミナーを開催しました。

セミナーの内容

1. 交通事故診療と健康保険

Q 最近、交通事故診療で健康保険を使った診療を申し込んでくる患者が増えています。医療機関は患者が健康保険を使うことを拒むことができますか?
A 医療機関は、患者が健康保険を使うことを拒むことはできません。

【解説】
加害者が自賠責保険に加入していても、速やかに保険金の支払いが行われない場合等、被害者である被保険者に一時的に重い医療費の負担が生じる場合も考えられます。

このような場合、医療保険の保険者は、被保険者が医療保険を利用することが妨げられないようにする必要があります。

2. 裁判所からの問い合わせへの対処

Q 裁判所から送付嘱託書が届きました。患者の同意を得ずに書面を提出しても問題ありませんか?
A 患者の同意を得ずに書面を提出しても違法ではないと考えられています。もっとも、慎重に対応したほうがよいでしょう。

【解説】

  • 文書送付嘱託とは、裁判所が文書の所持者に対してその文書の送付を嘱託し、これに応じて送付されてきた文書を証拠とする手続きです。(民事訴訟法第226条
  • 裁判所が決定を出しているので,患者の同意なしにカルテ等の書面を提出しても、プライバシー侵害等として賠償請求が認められることは想定し難いです。もっとも、トラブルを避けるため、患者の同意書を求める医療機関もあります。

3. 弁護士会からの問い合わせへの対処

Q 弁護士会から診療記録を送付するようにとの依頼を受けました。どのように対処すればよいでしょうか?
A 患者の同意を得ずに書面を提出しても違法ではないと考えられています。もっとも、慎重に対応したほうがよいでしょう。

【解説】

  • 弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度です。(弁護士法第23条の2
  • 公的団体である弁護士会からの照会のため、患者の同意なしにカルテ等の書面を提出しても、プライバシー侵害等として賠償請求が認められることは想定し難いです。もっとも、トラブルを避けるため、患者の同意書を求める医療機関もあります。

4. 警察からの問い合わせへの対処

Q 警察から情報提供の依頼を受けました。どのように対処すればよいでしょうか?
A 患者の同意を得ずに情報を提供しても、違法ではないと考えられています。もっとも、慎重に対応したほうがよいでしょう。

【解説】

  • 警察の捜査という目的があるため、患者の同意なしにカルテ等の書面を提出しても、プライバシー侵害等として賠償請求が認められることは想定し難いです。
  • もっとも、トラブルを避けるため、捜査関係事項照会書などを警察から受領して、警察から質問を受けたことを明確にするなどの配慮が望ましいです。必要に応じて患者の同意を取ることが望ましいこともあります。

5. 診断書や後遺障害診断書の記載の注意点

Q 診断書や後遺障害診断書を書いた後、患者から加筆・訂正を求められトラブルになることがあります。トラブルになりやすい診断書や後遺障害診断書の記載はどのようなものですか?
A 診断書は、完治していないにもかかわらず治ゆにチェックするとトラブルになりやすいです。後遺障害診断書は、次のような項目欄の記載がトラブルになりやすいです。
① 症状固定日
② 自覚症状
③ 精神・神経の障害、他覚症状および検査結果
④ 障害内容の増悪・緩解の見通しなどについて

6. 医療類似行為の問題

Q 患者から、整骨院・接骨院に通いたいので、医師の指示書を発行して欲しいと言われることがあります。なぜ、医師の指示書が求められるのでしょうか?
A 整骨院や接骨院への通院は、原則として医師の指示や同意が必要だからです。

7. 弁護士費用特約

Q 弁護士費用特約とは何ですか?
A 弁護士費用特約とは、弁護士に相談したり依頼したりする費用を保険会社が補償する特約です。

参加者の声

  • 実例に基づいて詳しく細かく説明をしていただきありがとうございました。また機会があれば、講演を聞かせていただきたいと思います。
  • 事例をあげていただいたり、分かりやすい説明で聞きやすかったです。診断書や患者対応は特に勉強になりました。
  • 大変興味深く勉強になりました。

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