2021年4月から、中小企業においても、いわゆる「同一労働同一賃金」の対応が必要になりました。
このセミナーでは、施行日の直前対応として、同一労働同一賃金のルールや改正のポイント、企業が取るべき対応を解説しました。約30社の企業様にご参加いただきました。
具体的には以下の内容です。
1. 同一労働同一賃金の基礎知識
① 同一労働同一賃金の現状
② 改正のポイント
2. 実務対応について
① 判例から読み取る各賃金項目の「相場観」
② 「今」企業がなすべき対応とは?
セミナーを開催した背景と目的
企業規模を問わず、同一労働同一賃金の対応が必要になりますが、手つかずの企業も多くあります。
法律やガイドラインが分かりにくく、企業としてもどこから対応してよいか分からないというのが理由でしょう。
そこで「企業が最低限行うべき対応」を発信したいという思いから、このセミナーを開催しました。
セミナーの内容
1. 同一労働同一賃金の基礎知識
① 同一労働同一賃金の現状
2018年6月29日に働き方改革関連法が成立し、いわゆる「同一労働同一賃金」に関するルール設定がなされました。
同一労働同一賃金とは、簡単に言うと「同じ仕事をしている人には同じ賃金を、違いがある人には違いに応じた賃金を支払いましょう」というルールです。
このルールは、期限の定めのない雇用契約(いわゆる正社員の雇用契約)と、期限の定めのある雇用契約(有期契約社員・パート社員)との間で問題になるルールです。
同一労働同一賃金に対応することは、すべての企業の法的義務です。対応できていない企業は、次のようなリスクがあります。
- 労働者から差額の賃金を請求される可能性
- 役所からの助言、指導、勧告の可能性
- 企業名が公表される可能性
② 同一労働同一賃金に関する法改正などの注意点
同一労働同一賃金に関して、次のような法改正の注意点を解説しました。
- 労働条件に関する文書の交付等(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第6条)
- 不合理な待遇の禁止(同法第8条)
- 通常の労働者と同視すべきパートタイム・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止(同法第9条)
- 教育訓練(同法第11条)
- 福利厚生施設(同法第12条)
- 通常の労働者への転換(同法第13条)
- 事業主が講ずる措置の内容等の説明(同法第14条)
2. 実務対応について
① 判例から読み取る各賃金項目の「相場観」
基本給から各種手当、そして福利厚生に至るまで、全ての労働条件について、正社員と有期契約社員の待遇差を検討する必要があります。
ただし、ガイドラインや裁判例を踏まえると次の3つに分けることができます。
- そもそも違いを設けることができない待遇
- 差は設けられるものの、大きな差を設けるのが難しい待遇
- 企業にある程度広い裁量が認められている待遇
ガイドラインや裁判例を踏まえた対応が必要になることを解説しました。
② 「今」企業がなすべき対応とは?
すぐに、かつ完璧に対応することはほぼ不可能です。まずはできるところから対応することが、同一労働同一賃金の第一歩です。
そのため、「赤点」を取らないという意識を持つことが重要であることを解説しました。