千葉県内の大規模医療法人の社内研修で、ハラスメント問題の現状とハラスメント問題の基礎知識を解説しました。
係長、一般職、非常勤職員の方々約30名にご参加いただきました。
具体的には、次のような内容を解説しました。
1. ハラスメント問題の現状
(1) ハラスメント問題のニュース
(2) 統計データからわかる現状
2. ハラスメント問題の基礎知識
(1) パワーハラスメント
(2) セクシャルハラスメント
(3) マタニティハラスメント
3. ハラスメントを受けたと感じた場合の対応策
4. まとめ:職場から加害者も被害者も出さない
セミナーを開催した背景と目的
千葉県内の大規模医療法人の研修担当の方から、社内の定期的な研修会の講師の依頼を受けました。
昨今、パワハラやセクハラなどハラスメントのニュースが連日のように取り上げられています。他の医療機関で発生したハラスメントのニュースが大きく取り上げられることもありました。
研修担当の方は、社員の誰もがハラスメントの被害者・加害者になって欲しくないという想いをお持ちでした。そこで、一般職の皆様を対象にハラスメントの基礎知識を解説しました。
とりわけ、パワハラと業務上の適切な指導との線引きの問題と、パワハラの加害者にならないための注意すべきポイントを詳しく解説しました。
セミナーの内容
1. ハラスメント問題の現状
(1) ハラスメント問題のニュース
テレビ・新聞・インターネットなどで、連日のようにハラスメントのニュースが出ています。たとえば次のようなニュースです。
① 日大アメフト部の悪質タックル問題
② 日本レスリング協会のパワハラ問題
③ 体操女子のパワハラ問題
④ #Mee Too運動
⑤ 財務省事務次官によるセクハラ問題
⑥ 百十四銀行会長の引責辞任
(2) 統計データからわかる現状
ハラスメント問題は身近な問題です。誰でも被害者にも加害者にもなってしまうことがあります。
また、ハラスメントの相談件数は増えています。4人に1人は過去3年間でパワハラを受けたと感じているというアンケート結果もあります。パワハラなどのハラスメントにより、社員にメンタルの問題が生じる確率も増えています。
会社として、ハラスメント問題に今まで以上に真剣に取り組む必要があります。
2. ハラスメント問題の基礎知識
(1) パワーハラスメント
パワーハラスメントには、次のような類型があります。
① 精神的な攻撃
② 過大な要求
③ 人間関係からの切り離し
④ 個の侵害
⑤ 過小な要求
⑥ 身体的な攻撃
たとえば、精神的な攻撃については、次のような要素を考慮して、社会通念上許容される指導・叱責かどうかで裁判所は判断しています。
- 人格否定・名誉毀損となる言動の有無
- 退職、解雇、処分を示唆する言動の有無
- 本人の帰責性、業務上の指導の必要性
- 本人の立場、能力
- 指導の回数、時間、場所
- 他の者との公平性
パワハラの課題の解決には専門的な判断が必要です。トラブルになりそうだったら弁護士へのご相談をおすすめします。
(2) セクシャルハラスメント
セクシャルハラスメントには、次のような類型があります。
① 対価型セクシュアルハラスメント
たとえば、経営者から性的な関係を要求されたが、拒否したら、解雇されたような場合です。
② 環境型セクシュアルハラスメント
たとえば、事務所内で上司が腰や胸などを度々触るので、また触られるかもしれないと思うと仕事が手に付かず就業意欲が低下している場合です。
セクハラの課題の解決には専門的な判断が必要です。トラブルになりそうだったら弁護士へのご相談をおすすめします。
(3) マタニティハラスメント
マタニティハラスメントには、次のような類型があります。
① 妊娠・出産したことを理由とするもの
② 育児休業等を理由とするもの
マタハラの相談は増加傾向です。また、マタハラの課題の解決には専門的な判断が必要です。トラブルになりそうだったら弁護士へのご相談をおすすめします。
3. ハラスメントを受けたと感じた場合の対応策
ハラスメントを受けたと感じた場合の対応策として、次の2つを解説しました。
① 1人で抱え込まずに、周りに相談する。
② 会社の相談窓口に相談する。
4. まとめ:職場から加害者も被害者も出さない
① ハラスメント問題の現状を知り、ハラスメントは身近な問題であることを認識する。
② ハラスメントの正しい知識を持ち、職場から加害者も被害者も出さない。