労働法基礎講座-解雇について-(2019/6/11)

開催日時:
2019年06月11日 18:00 〜 20:00
セミナー分類:
企業法務
主催:
千葉県弁護士会
講師:
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
開催会場:
千葉県弁護士会
対象者:
弁護士

労働法基礎講座-解雇について-(2019/6/11)

セミナー報告

研修趣旨

労働問題対策委員会に所属している弁護士3名で、千葉県弁護士会の弁護士を対象に、解雇に関する研修を行いました。

村岡は、会社側の立場から、労働事件対応のポイント、具体的事案の対応等につき、お話させていただきました。

リアル参加、オンライン参加を含め、多くの弁護士に参加いただきました。研修の概要は以下の通りです。

研修の概要

1. 労働契約終了に関する基礎知識
(1) 労働契約の終了原因(解雇、辞職、合意退職、雇止め、定年)
(2) 解雇の種類(普通解雇、懲戒解雇)
2. 事件処理のポイント(労使の立場から)
(1) 代理人として相談・受任する際の心構え
(2) 初回相談時に留意すべき点、確認すべき事項
(3) 交渉、労働審判、訴訟など、手続別の対応の留意点
(4) 主張、反論のポイント
3. その他の重要なポイント
(1) 失業保険、他社就労について
(2) 解雇の撤回について
(3) 和解について
(4) 退職勧奨について
(5) その他実務上の問題点

研修時に特に力を入れて話したポイント

会社側の立場で、日々解雇事件を対応するに当たり、考えていること、注意していることをお話ししました。

特に、解雇する「前」に相談を受けた場合に、安易に解雇を勧めてしまうと、会社にとって大きなリスクを抱えることになってしまいます。そのため、適切な見通しを伝えること、正確にリスクを説明することの重要性を重点的に話しました。

また、解雇「後」の相談の場面では、会社の内情や、解雇を決定するに至った経営者の心情に思いを寄せることの重要性をお話しました。一部例外はあるにしても、会社としても、やむにやまれぬ事情があり、当該労働者を解雇しています。

そのような背景も知らずに、「なぜ解雇したんですか?」と聞くのは、あまりにも敬意を欠く発言と考えています。

そのため、法的な見立ては別にしても、まずは依頼者の話をしっかりと聞き、解雇に至った経緯なども確認した上で、専門家としてしっかりと見通しを伝えることが重要というお話をしました。

本研修に関連する質問と回答

Q 今回の研修のように、士業を対象とした研修講師を担当することは多いですか?
今回のように、弁護士会内の研修講師を担当することや、日本弁護士連合会のシンポジウムのパネリストを担当することもあります。また、社労士会、税理士会などの団体より、研修講師のオファーをいただくこともあります。たとえば以下のものが挙げられます。

Q 労働者を解雇した後、弁護士事務所から書面が届きました。どう対応すればよいですか?
すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。

解雇の事案は「時間が経つにつれて、会社のダメージが大きくなる」傾向にあります。解雇直後であれば、採ることのできる選択肢は複数あります。

また、「実際には解雇していないのに、弁護士から求められて、よくわからず解雇の書面を出してしまった」というケースもあります。

解雇事案に限りませんが、労働事件は、「初動対応」が鍵を握ります。本来的には、解雇「前」に専門家に相談することが望ましいですが、もし解雇してしまい、弁護士事務所などから通知が届いた場合には、すぐに弁護士にご相談いただければと存じます。

参考リンク