相続に関する法律や税金の全般を解説しました。
前半は、民法の遺産分割を中心とした内容です。理論面だけでなく、紛争になったときのデメリットや、紛争を防止するにはどうすべきかも解説しました。
後半は、相続税を中心とした内容です。理論面だけでなく、税務調査の対応などの実践的な内容も解説しました。
相続は法律と税務が密接に関係します。双方が関連する点や、双方の違いも解説しました。
講義中や講義後にも何度も質問をいただくなど、受講者の皆様には熱心に受講していただきました。
研修を開催した背景と目的
現在の高齢化社会の進展において、相続は皆様の関心事となっています。そのため、相続の法律と税金の概要を理解していただきたく、本講義を行いました。
研修の内容
1. 遺産分割全体の流れ
遺産分割といっても、何からやるかわからないことが多いです。そこで、遺産分割は次のような流れで進んでいくことを解説しました。
- ① 相続人の範囲の確定(例:相続放棄をした人は相続人にならないことなど)
- ② 遺産の範囲の確定(例:故人の名義ではない預貯金口座を遺産とするかなど)
- ③ 遺産の評価(例:土地の値段は〇〇円など)
- ④ 実際の相続分の確定(例:特別受益や寄与分による修正など)
- ⑤ 分割方法の決定(例:不動産でもらう。お金でもらうなど)
- ⑥ 遺産分割協議書の作成
- ⑦ 名義変更手続などの実行
2. 特別受益はトラブルになりやすい
特別受益とは、一部の相続人が故人から生前贈与などで受け取った利益のことです。
次のようなものが特別受益になることがあります。
- ① 婚姻や養子縁組のための持参金・支度金、結納金・挙式費用
- ② 学費(高校、大学、留学費用)
- ③ 居住用不動産の贈与や資金援助
- ④ お祝い(新築祝い、入学祝い)
- ⑤ 営業資金の贈与
- ⑥ 遊興費のための贈与
- ⑦ 債務の肩代わり支払い
- ⑧ 相続人の妻や子への贈与
特別受益はもめやすいことを解説するとともに、話し合いで解決できないときは家庭裁判所が最後は決定することを解説しました。
3. 寄与分はトラブルになりやすい
寄与分とは、故人に対して特別な貢献をした場合、相続での取り分が多くなるという制度です。
次のようなものが寄与分になることがあります。
4. 相続税の計算対象になる財産
相続税の対象となるのは次の財産などです。
- ① 故人が死亡時にもっていた財産
- ② みなし相続財産(生命保険金や死亡退職金など)
- ③ 死亡前の一定期間に相続人等が受けた贈与など
あわせて、民法で遺産分割の対象となる財産と、相続税の計算対象になる財産は異なることを解説しました。
5. その他
相続に関する法律と税金をいろいろな観点から解説しました。