<セミナー開催趣旨>
代理店の皆様は、お客様に発生した交通事故について、請求できる損害や請求額の相談を受ける機会も多いかと思います。
自賠責保険は、被害者救済、加害者が負担する経済的負担を補填する重要な保険です。
本セミナーでは、交通事故を多数取り扱っている弁護士より、自賠責保険の基礎、自賠責保険における損害額算定方法などについて、どのような考え方、どのような方法で進めていけばいいのかを説明しました。
「自賠責保険の支払基準、よく質問を受けるけどいつも困っている。」
「実は自賠責保険についてよく分からない。」
といったお悩みを解消すべく解説しました。
当日の模様についてご紹介します。
<講座目次>
- 1. 自賠責保険の基礎
- (1) そもそも自賠責保険とは
- (2) 自賠責保険の特徴
- 2. 自賠責保険における損害額算定方法
- (1) 支払限度額(傷害、後遺障害、死亡)
- (2) 支払基準
- (3) 重過失減額
- (4) 支払われないケース
- (5) 裁判基準との違い
- 3. 自賠責保険の請求方法、不服申立方法
- (1) 自賠責保険請求の方法
- (2) 支払に不服がある場合
- 4. 自賠責保険の活用事例
- 5. 本日のまとめ
<概要>
前半は自賠責保険における損害額算定方法について、後半は自賠責保険の請求方法や不服申立方法、自賠責保険の活用事例について解説しました。20名以上の方にご参加頂き、熱心に話を聞いていただきました。
1. 自賠責保険の基礎
冒頭に最近の交通事故の傾向をお伝えしました。
交通事故の発生件数自体は減少傾向です。
次に、最近の自賠責保険の傾向をお伝えしました。
新契約は、契約台数自体は変わっていないのですが、金額は大きく減少しています。
支払は、自動車事故の件数の減少に伴い、自賠責保険金の支払も減少しています。事故減少による影響は損害保険を販売する代理店の皆さまにもかなり影響は大きいです。
2. 自賠責保険における損害額算定方法
次に、自賠責保険における損害額算定方法です。
(1) 支払限度額(傷害、後遺障害、死亡)
自賠責保険の支払限度額は傷害部分は120万円です。後遺障害部分は認定された後遺障害等級により異なります。75万円から4000万円です。
(2) 支払基準
自賠責保険の支払基準は複雑です。自賠責保険の支払基準を各損害項目ごとに解説しました。
(3) 重過失減額
自賠責保険は過失があっても減額されにくいです。しかし、重過失があると減額の対象です。具体的な割合は、次の表の通りです。
(4) 支払われないケース
自賠責保険が支払われないのは次のようなケースです。
① 加害者に賠償責任がない場合
② 自動車の運行によって死傷したのではない場合
③ 賠償責任を負う加害者がいない場合(自損事故)
(5) 裁判基準との違い
治療費、通院交通費、義肢等の費用、文書料は自賠責基準と裁判基準は同様です。その他の損害は異なるものが多いです。
3. 自賠責保険の請求方法や不服申立方法
自賠責保険の請求方法は、被害者請求と加害者請求の2つがあります。
① 被害者請求
被害者の加入している自賠責保険会社に被害者が直接請求を行う方法です。
② 加害者請求
加害者が被害者に賠償金を支払い、加害者が自賠責保険会社に請求を行う方法です。
不服申立は損害保険会社に異議申立をする方法や自賠責保険・共済紛争処理機構に申請する方法があります。
4. 自賠責保険の活用事例
自賠責保険の活用が有益なケースを解説しました。具体的には次のような場合です。
① 加害者任意保険会社による治療費打ち切り後の治療費を請求した事例
② 被害者に相応の過失が認められた事例
③ 加害者が複数で2つの自賠責保険を使えた事例
最後に自賠責保険の理解と活用が交通事故被害救済の切り札になり得ることをお話しし、セミナーを締めくくりました。