千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会

開催日時:
2011年01月19日
セミナー分類:
企業法務
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール

千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会

セミナー報告

「知らなかったではすまされない。65歳までの雇用延長制度~改正高年齢者雇用安定法Q&A」
について社会保険労務士の先生方を対象にセミナー講師をしました。
主として使用者側の立場から、改正高年齢者雇用安定法の問題について解説をしました。

  • 65歳までの雇用延長制度トラブル例
  • 定年制についての整理
  • 平成16年改正高年齢者雇用安定法
  • 改正法に対応した制度設計方法
  • 改正高年齢者雇用安定法と強行法規性
  • 改正高年齢者雇用安定法と雇い止め
  • 改正高年齢者雇用安定法と更新拒否の可否の判断基準
  • 改正高年齢者雇用安定法と給与の減額について
  • 改正高年齢者雇用安定法と団体交渉義務について
  • 労使協定に基づく継続雇用制度の具体的内容・手続き
  • 労使協定のポイント
  • 就業規則の改正のポイント
  • 個別の今日契約のポイント
  • その他

本セミナーに関連する質問と回答

Q 平成24年改正高年齢者雇用安定法ではどのような措置をとることが事業主に定められていますか?
平成24年改正法では次のいずれかの措置を取る義務があるとされています。
① 65歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

Q 令和2年改正高年齢者雇用安定法ではどのような措置を取ることが事業主に定められていますか?
令和2年改正法では次のいずれかの措置を講ずるよう努めることとされています。
①70 歳までの 定年の引上げ
②定年制の廃止
③70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
④70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70 歳まで継続的に、事業主が自ら実施する社会貢献事業又は事業主が委託・出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度の導入

Q 70歳までの雇用が法的義務なのですか?
  • 70歳までの雇用は法的義務ではなく努力義務です。
  • 法的義務は「しなければいけないこと」です。違反すると罰則や不利益が発生することが多いです。
  • 努力義務は「するのが法律上望ましいこと」という程度のイメージです。違反しても罰則は発生せず、不利益も発生しないことが多いです。
Q 会社が70歳までの高年齢者就業確保措置を講じる場合において、就業条件など措置の内容に関して高年齢者と会社の間で合意できず、高年齢者本人が措置を拒否した場合、努力義務を満たしていないことになるのですか?
会社が合理的な裁量の範囲での就業条件を提示していれば、従業員と会社との間で就業条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が措置を拒否したとしても、努力義務を満たしていないものとはなりません。

Q 会社が70歳までの高年齢者就業確保措置を講じる場合において、対象者を限定する基準を設けることは可能ですか?
高年齢者就業確保措置は努力義務のため、対象者を限定する基準を設けることは原則として可能です。しかし、次のような事例は不適切な事例として例示されていますので注意しましょう。
不適切な例1 会社が必要と認めた者に限る
不適切な例2 上司の推薦がある者に限る
不適切な例3 男性(女性)に限る
不適切な例4 組合活動に従事していない者に限る

Q 会社が70歳までの高年齢者就業確保措置を講じる場合において留意すべき事項にはどのようなものがありますか?
次のようなものがあります。

  • 高年齢者就業確保措置のうちいずれの措置を講ずるかは、十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じることが望ましいです。
  • 個別高年齢者にいずれの措置を適用するかは、個別高年齢者の希望を聴取した上で希望を十分に尊重して決定する必要があります。
  • 高年齢者が定年前とは異なる業務に就く場合、新しく従事する業務に関して研修・教育・訓練等を行うことが望ましいです。
  • 職場環境の改善や健康や体力の状況把握とそれに応じた対応など、就業上の災害防止対策に積極的に取り組むことが望ましいです。

参考リンク