不動産業者の方を対象に、相続の基本的な知識を解説しました。
講座内容は次のとおりです。
1. 相続の基礎知識
① 誰が相続人になるのか(法定相続人)
② どれくらい相続することができるのか(法定相続分)
③ 養子がいた場合の相続(養子縁組)
④ 生前の特定の相続人への贈与(生前贈与)
⑤ すべての遺産を特定の相続人に相続させる遺言(遺留分)
⑥ 生前に被相続人の世話等をしていた場合(寄与分)
⑦ 預金の無断引出し
⑧ 相続人の地位を失わせたい場合(廃除・欠格)
2. 生前対策
① 遺言書を用いた争族回避法
② 孫まで確実に遺産を相続させる方法(遺言代用信託)
③ 特定の相続人に全て遺産を相続させる方法(遺留分の生前放棄)
3. 相続発生後の対応策
① 相続放棄
② 相続分の譲渡
③ 遺産分割協議
④ 遺産分割調停・審判
⑤ 被相続人から収益物件を相続した場合の地代
⑥ 遺留分の期間制限
4. 応用編
① 地主の相続
② 会社の経営権をスムーズに承継させるためにすべきこと
③ 相続した空き地を放置した場合の相続人の責任
④ 相続した土地を共有にした際のリスク
⑤ 相続財産管理人
セミナーを開催した背景と目的
不動産業者様は、不動産オーナーから相続の相談を受けることが多いです。
不動産オーナーに適切なアドバイスをするためには、幅広い相続の知識が必要です。そこで、不動産業者様を対象にして、相続のセミナーを開催しました。
セミナーの内容
1. 相続の基礎知識
① 法定相続分や相続分の割合
相続人の範囲などの基本的な知識や、遺留分などの相続に関連する制度を説明しました。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人の範囲や法定相続分は、養子がいたり代襲相続が発生していたりすると少し複雑になってくることもありますので注意が必要です。
② 特別受益や寄与分
相続では「具体的にいくら相続できるのか」が重要です。
故人が相続人に生前贈与していたり、相続人が生前に故人の財産が増えるようなサポートをしていたときは、「具体的にいくら相続できるのか」が変わってきます。そのため、特別受益や寄与分を相続のときにどのように反映させるかはとても重要です。
2. 生前対策
「争族」を回避するための方法を解説しました。
具体的には、遺言や遺言代用信託などを用いる生前対策を解説しました。
相続では法定相続分が決まっています。そのため、特定の相続人に多くの遺産を相続させるためには、遺言や遺言代用信託などの制度を利用することがおすすめです。
遺言を作成するときは、他の相続人の遺留分を侵害していないか注意する必要があります。この遺留分の対策として、生命保険を利用することも一般的です。
3. 相続発生後の対応策
被相続人が亡くなった後の手続きを解説しました。
具体的には、被相続人が借金を抱えていた場合の相続放棄や、遺産分割協議がまとまらなかった際の遺産分割調停の手続きについて解説をしました。
相続放棄や遺留分の請求など、相続の手続きには期間制限が設けられている制度がいくつもあります。期限を過ぎてしまうと制度を利用できなくなるため注意が必要です。
④ 応用編
応用編として、不動産オーナーの相続にまつわる特殊なポイントや会社の事業承継、空き地を放置した場合の相続人の責任などを解説しました。
相続の手続きを何もしないと相続人に不利益が生じることがあります。相続が始まったら必要な手続きを取るようにしましょう。
特に会社経営者は、生前から対策をすることで相続のときに関係者が困ってしまうという自体を回避できます。早い段階から事業承継のことも考えておきましょう。