高次脳機能障害支援センター実施の「家族のつどい」で、成年後見とトラブル対応のテーマでセミナーを実施しました。
具体的には、成年後見や後見制度支援信託を解説しました。内容は次のとおりです。
- 交通事故で弁護士が関わると何が変わるか?
- 本人の判断能力が落ちた場合に検討すべきことは何か?
- 成年後見制度はどのような制度か?
- 成年後見制度はどんな人が利用するか?
- 後見制度支援信託はどのような制度か?
セミナーを開催した背景と目的
高次脳機能障害支援センターでは、高次脳機能障害者のご家族を対象に「家族のつどい」という企画を実施しています。
定期的に開催されている「家族のつどい」で、講義とグループワークの形式で成年後見制度の実務を解説しました。
セミナーの内容
1. 交通事故で弁護士が関わると何が変わるか?
交通事故の損害賠償では次の2点がポイントです。
① 適切な後遺障害の等級を認定してもらうこと
② 適切な損害賠償の金額を認定してもらうこと
適切な等級や賠償額の認定を受けるためには、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。そして、弁護士に依頼するかは弁護士のアドバイスを聞いて決めましょう。
2. 本人の判断能力が落ちた場合に検討すべきことは何か?
本人の判断能力に不安がでてきた段階であれば、まだ様々な財産管理の方法があります。
判断能力がなくなった段階になると、成年後見制度や日常生活自立支援事業など選択できる方法が限られます。
判断能力がない本人が契約すると契約上のトラブルが生じることがあります。判断能力に応じた適切な財産管理を検討しましょう。
3. 成年後見制度はどのような制度か?
成年後見制度とは、本人の判断能力が精神上の障害により不十分な場合に、本人を法的に保護して支えるための制度です。
被後見人のご家族、弁護士などの専門職が成年後見人になります。
成年後見人の基本的な職務は①身上監護と②財産管理です。被後見人の財産を調査したうえ、被後見人の財産を管理して、管理状況を裁判所に定期的に報告します。
4. 成年後見制度はどんな人が利用するか?
精神上の障害によって事理弁識能力を欠く人が、後見制度を利用します。
弁識する能力を欠いているかどうかは次のような資料で裁判所が判断します。
① 長谷川式知能評価スケールの点数
② 医師の診断書
③ 要介護申請に添付する資料
5. 後見制度支援信託はどのような制度か?
後見制度支援信託は、後見制度を利用する本人の財産が多いときに利用する制度です。
後見制度を利用する本人の財産を適切に管理、利用するための方法の一つです。