消費生活相談員の皆様に向けて、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、具体的な事例に即して解説をする消費生活相談実例研修を開催しました。
具体的には、次のような内容です。
- 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修
- 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法における販売業者等情報の開示請求
研修会を開催した背景と目的
消費生活相談員は、地方公共団体が設置する消費生活センター等の消費生活相談窓口で、困っている皆さんの暮らしを守るために日々活躍しています。皆様とてもよく勉強していて、知識も豊富です。
ただ、消費者被害はあまりにも多様です。
そのため、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、現場の消費生活相談員が困っている具体的な事例を検討して解説をする研修を、毎年複数回、各自治体で開催しています。
研修会の内容
1. 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修
「儲け話のはずだったのに詐欺だった」
「無料点検と聞いたのに不要な契約を結ばされた」
「買った商品が届かないんだけどどうすればいいんだろうか・・・」
消費者被害にあって泣き寝入りとなってしまうことは、なんとしても防がねばなりません。
そこで、個別の事案を題材として、消費生活相談の実例に基づく検討を行いました。
2. 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法における販売業者等情報の開示請求
① 2022年5月に取引デジタルプラットフォーム消費者保護法が施行
取引デジタルプラットフォーム消費者保護法は、ネットショッピングのトラブルから利用者を守る法律です。2022年5月に施行されました。
② ネットショッピングのトラブルが増える背景
オンラインモール等のネットショッピングはますます便利になっています。
しかし、便利になるに伴い、次のようなトラブルも増えています。
- 商品が届かない
- 商品が偽物だった
- 商品が壊れていた
- 商品がうたっている効能がない
- 商品から別の被害が発生した
このようなトラブルが発生した場合、オンラインモール等のネットショッピング運営事業者は、利用者と販売業者が直接交渉する旨を利用規約等で定めていることが多いです。そのため、利用者がネットショッピング運営事業者に対応を依頼しても、ネットショッピング運営事業者はトラブル解決に介入しないことが通常です。
すると、返品や返金を求める場合、利用者はオンラインモールに参加している商品の販売元と交渉する必要があります。
しかし、商品の販売元の連絡先がわからなかったり、連絡してもつながらなかったりすることがあります。そのような場合、利用者は泣き寝入りをすることも多くあったのが実情です。
③ 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法に基づく販売業者等情報の開示請求
今回、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の施行により、利用者はネットショッピング運営会社に対して、販売元の電話番号やメールアドレス等の情報開示を請求できるようになりました。
また、請求のための書式も、販売業者等情報の開示請求書として公開されています。
販売元の情報がわかることで、販売元との交渉をしやすくなりました。