杉並区救急協力員(消防庁認定の講習を受けた区民等)を対象にした救命や医療に役立つ知識を学ぶ研修会にて、AEDの使用と法律について解説しました。
具体的には次のような内容です。
- AEDを使用して死亡してしまった事例の解説
- AEDの使用方法を間違えてしまった事例の解説
- AEDの使用と痴漢の事例の解説
- その他のよくある質問
- 裁判例におけるAEDに関する義務の分析
約30名が参加して、質疑応答も含めて熱心に話を聞いていただきました。
研修会を開催した背景と目的
法律のことが気になってAEDの使用をためらってしまうのは本末転倒です。
そこで、AEDの使用を促進するため、よくある事例を元に研修会を開催しました。
研修会の内容
1. AEDを使用して死亡してしまった事例の解説
以下の事例を元にして、民事や刑事の責任を負うのは極めて限定的な場合であることを解説しました。
人が倒れていて心肺停止の状態でしたので、近くにいた私がAEDを使用して蘇生を試みました。しかし、残念ながらその人は死亡してしまいました。私は罰せらせてしまうのでしょうか?
2. AEDの使用方法を間違えてしまった事例の解説
以下の事例を元にして、民事や刑事の責任を負うのは限定的な場合であることを解説しました。
AEDを使用しましたが、動転して手順を間違えて使用してしまったみたいです。このことが原因かわかりませんが、対象者に後遺症が残りました。私は何か責任を負うのでしょうか?
3. AEDの使用と痴漢の事例の解説
以下の事例を元にして、痴漢として民事や刑事の責任を負うことはほぼないことを解説しました。
倒れている女性に対して男性がAEDを使用するときに、後で痴漢として問題にならないかどうか心配になってしまいます。大丈夫でしょうか?
4. その他のよくある質問
以下のようなよくある質問を解説しました。
① 延命拒否の希望がある人を、そのことを知らず救助した場合はどうなるのでしょうか?
② 道を歩いているときに倒れている人をみかけた際、救護せずに立ち去った場合は罪になりますでしょうか?
③ 設置してあるAEDを使おうとしたら電源が入らなかったり、パットが無い等の不備があった場合、管理者は訴えられるリスクはありますか?
5. 裁判例におけるAEDに関する義務の分析
以下のようなAEDに関連する義務の有無について、過去の裁判例を元に解説しました。
① 生徒に対する教諭のAEDの使用義務
② 保育園におけるAEDの設置義務
③ 高校が実施した競歩大会にて、AEDについての救護体制を構築する義務
④ 高校の部活動でのAEDの携行義務