千葉県税理士会柏支部の勉強会にて、税理士の先生向けに、配偶者居住権などの民法改正(相続法)等を解説しました。
また、税理士の先生から配偶者居住権の評価方法や課税時期等についてご教示頂きました。参加者からもご質問を多数いただき、議論が深まったセミナーとなりました。
具体的には、次のような重要ポイントを解説しました。
- 配偶者居住権
- 配偶者への自宅贈与優遇
- 遺留分の改正
- 預貯金債権の仮払制度
- 寄与分の改正
- 養子縁組に関する最高裁判所の判例
セミナーを開催した背景と目的
高齢化社会の進展により、相続の問題がよりクローズアップされています。
その中で、民法を中心とした相続法の大きな改正がありました。2019年1月からの段階的な施行です。
そこで、税理士の先生方には、改正法の内容を確認して日々の業務にいかしていただきたく、本セミナーを開催しました。
セミナーの内容
1. 配偶者居住権
被相続人の持ち家に住んでいた配偶者の居住や生活を保護するための制度が配偶者居住権です。
配偶者居住権を利用すれば、配偶者は居住を確保しつつ、預金等生活に必要な相続財産を確保できることを解説しました。
2. 配偶者への自宅贈与優遇
婚姻期間が20年以上の夫婦間において、居住用不動産を遺贈・贈与したときは、特別受益の持ち戻し免除の意思表示が推定されます。
特別受益となると取得できる相続財産が減ってしまうことがありますので、残された配偶者のための制度です。
3. 遺留分の改正
① 従前の制度
遺贈等された財産の現物返還が原則でした。
しかし、不動産が共有になってしまったり、株式の問題で事業承継がスムーズにいかなかったり等の問題がありました。
② 改正後の制度
遺留分は金銭で請求することになりました。あわせて、遺留分の算定で加算する贈与について相続開始前10年という期間制限もできました。
改正により遺留分の問題が解決しやすくなりました。
4. 預貯金債権の仮払制度
預貯金の払戻しについて、次の2つの制度を解説しました。
① 家庭裁判所を利用した払戻し制度
② 家庭裁判所を利用しなくても払戻しできる制度
遺族の生活資金確保のため、預貯金を払い戻す必要があるときなどを想定した制度です。
5. 寄与分の改正
被相続人の相続人でない親族が、無償で看護などをすることで、被相続人の財産の維持増加等に寄与をした場合に、相続人に金銭を請求できる制度ができました。特別寄与料といいます。
6. 養子縁組に関する最高裁判所の判例
節税目的の養子縁組の有効性についての最高裁判所の判例を解説しました。
養子縁組の意思はあることを重視して、最高裁判所は養子縁組は有効と判断しました。