労働時間制度と労働者性の諸問題

開催日時:
2026年01月30日 14:00 〜 16:00
セミナー分類:
交通事故
主催:
千葉県社会保険労務士会千葉支部様
講師:
三井 伸容 三井 伸容のプロフィール
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
対象者:
千葉県社会保険労務士会千葉支部の社会保険労務士の先生方

労働時間制度と労働者性の諸問題

セミナー報告

千葉県社会保険労務士会千葉支部に所属されている社会保険労務士の先生方に向けて、最新判例や行政動向を踏まえた、労働時間制度・労働者性の問題についてお話しました。

具体的な研修内容は、次のとおりです。

1. 労働時間制度について
① 労働時間制度の「原則」
② 労働時間制度の「例外」
・変形労働時間制
・フレックスタイム制
・裁量労働時間制
・事業場外みなし労働時間制

2. 労働者性について
① 労働者性とは?
・労働者性が問題となる主な類型
・労働者性が問題となる主な場面
・近時の裁判例
・判断基準
② 労働者性に関する近時の動向(厚労省)
③ 近時問題となるケースとその対応
・フリーランス
・副業
・偽装請負と労働契約申し込みみなし
・クラウドソーシング

研修を開催した背景と目的

昨今、労働時間規制や労働者性の問題について、労働基準法改正、行政主体での調査研究など、新たな動きが出てきています。また、これらの論点について近時多数の重要な裁判例が出ております。

千葉県社会保険労務士会千葉支部様では、毎年弁護士村岡つばさが講師をさせていただいておりますが、今回は弁護士三井伸容も加え、重要テーマである「労働時間制度」と「労働者性」の問題を取り上げました。

法律・制度の解説だけでなく、近時の裁判実務の動向や行政の動き、それらについて専門家として注意すべきポイントも含め、実践的な内容をお伝えできるよう心がけました。

研修の内容

1. 労働時間制度について

① 労働時間制度の原則
基本部分の再確認として、法定労働時間、休憩時間、休日、時間外・休日労働、割増賃金のルール、労働時間の適正把握義務などを解説しました。

労働基準法改正により、一部の規制やルールの見直しが予定されています。そのため、予想される法改正の内容についてもお話しました。

② 労働時間制度の例外
実務上よく問題となる「変形労働時間制」を中心に、実務上の注意点や裁判例を詳しく解説しました。特に、変形労働時間制と、フレックスタイム制を中心に解説しました。

  • 変形労働時間制
    変形労働時間制の有効性が争われるケースは非常に多いですが、大企業を含め、多くの企業が敗訴しています。

    規程上の不備に起因して敗訴しているケースや、運用上の問題で敗訴しているケースもあります。特に、「労働時間の具体的な特定」が不十分なことが多いです。

  • フレックスタイム制
    フレックスタイム制の有効性が正面から争われるケースはこれまで多くありませんでした。

    ただし、働き方が多様化し、フレックスタイム制を導入する企業は年々増加傾向にあるため、今後はフレックスタイム制の有効性が争われる事案も増えると予想しています。

    フレックスタイム制は、「始業・終業時間決定の裁量が労働者に委ねられていること」が大前提の制度であるため、①始業・終業時間が固定化している場合や、②始業・終業時間につき使用者の事実上の業務指示がある場合、③フレキシブルタイムが極端に短い場合などには、有効性が否定されるリスクがあります。

2. 労働者性について

① 労働者性とは?
労働者性とは、労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかという争点です。特に注意が必要な点として、会社のビジネス上、業務委託従事者やフリーランスを多数抱えている場合を挙げました。

この場合には、労働者性についてリスクが発生した場合にビジネスへの影響が大きくなります。問題に気付いたときには既に遅く、是正にかなりの手間やコストがかかる場合もあるため、専門家として関与する際には特に慎重な検討が必要です。

昭和60年12月19日付の「労働基準法の労働者の判断基準について」(労働基準法研究会報告)の基準は、現在も使われている重要な基準であるため、改めて解説しました。

また、令和に入ってから労働者性に関する裁判例も多数出ているため、代表的なものについて、問題となった職種や裁判所の結論をご紹介しました。


② 労働者性に関する近時の動向(厚労省)
次に労働者性に関する近時の行政動向をご紹介しました。たとえば、実務上大変参考になる資料として「労働基準法における労働者性判断に係る参考資料集」とその活用方法をご紹介しました。

また、昨年7月から行われている「労働者性」に関する研究会について、その趣旨目的やこれまでの成果物、その活用方法などをご紹介しました。


③ 近時問題になるケースとその対応
近時問題になるケースとその対応について解説しました。

フリーランスについては、関連する重要な法律として、フリーランス法をご紹介しました。また、フリーランスの労働者性が問題となった近時の裁判例もいくつかご紹介しました。

近時の裁判例が契約書における業務内容や報酬の定め方を重視していることを踏まえ、専門家として、事前に検討すべき事項の重要性を再確認しました

次に副業に関しては、雇用型と業務委託型があること、特に実態が雇用の副業について、労働時間の通算や過重労働に関する重要な裁判例をご紹介しました。


さらに、派遣と偽装請負(実態は派遣なのに請負を装うこと)についても解説しました。

偽装請負などの違法な状態で働かせていた場合、派遣先企業がその労働者に対して、直接雇用を申し込んだものとみなされる法的ルール(労働契約申込みみなし制度)があります。

これにより、意図せず直接雇用を義務付けられるリスクがあります。


そして最後に最近の動向として、クラウドソーシングもご紹介しました。

参加者の声

  • 労働時間制度について、作成した規程類に不備がないか注意しないと怖いと感じました。
  • 大変勉強になりました、ありがとうございました。
  • 今回の研修内容を踏まえて、顧問先にアドバイスしていきたいと思います。

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