日常の広告宣伝やマーケティング活動に潜む景品表示法(景表法)のリスクについて、具体的な違反事例や最新の規制動向を交えながら解説を行いました。
セミナーを開催した背景と目的
「インフルエンサーに依頼した投稿がステマと批判」
「顧客満足度No.1で行政指導」
「今だけ10%割引との広告が大炎上」
近年、消費者向けの広告規制が強化されており、SNSの投稿1つをとっても慎重な記載が必要です。生成AIの普及に伴い、問題ない表示かどうかを消費者が気軽に調査することもできます。
不当な表示を行えば、SNSでの炎上や行政の実名公表によるブランドイメージの失墜、課徴金の納付命令など、企業経営に多大なダメージを与えかねません。
そこで、現場で問題となりやすいテーマを中心に、最新の違反事例を踏まえ、実務で迷いやすい「アウトとセーフの境界線」を弁護士が解説しました。
セミナーの内容
1. 不当表示の基本区分とペナルティの怖さ
景表法における不当表示は、大きく分けて次の3つです。
① 優良誤認表示:商品・サービスの「品質や規格」を実際より著しく良く見せる表示(例:
「顧客満足度No.1」「〇〇成分100%配合(実際は混入)」など)
② 有利誤認表示:商品・サービスの「価格や取引条件」を実際より著しくお得に見せる表示(例:「今だけ50%OFF(実際は年中割引を実施)」「他社より絶対お得」など)
③ 指定告示に係る不当表示:社会情勢の変化に応じて内閣総理大臣が指定する表示(例:「ステマ規制」など)
万が一、これらに違反して行政処分(措置命令)を受けると、単に広告を止めるだけでなく、「過去の表示が景品表示法に違反し、消費者に誤認を与えていた事実」を新聞やWeb上で一般消費者に周知することなどが命じられます。
消費者庁の公式サイトや大手メディアで違反事実と社名が公表されれば、長年築き上げたブランドイメージが一夜にして失墜してしまいます。
2. 業界で横行する「No.1表示」の落とし穴
「売上No.1」「顧客満足度第1位」といったNo.1表示は、消費者の購買意欲を強力に高める反面、行政の監視が最も厳重に行われている領域です。
No.1表示を適法に行うためには、次の3要件をすべて満たす必要があります。
① 客観的な調査:第三者機関等により、統計的に妥当な方法で実施されていること
② 公平かつ適切な比較:都合の良い競合他社を勝手に除外していないこと
③ 正確な条件表示(打消し表示):調査期間、地域、対象者などを分かりやすく明記していること
特に注意が必要なのが「ネットリサーチの不適切な利用」です。
たとえば、実際には商品を使用したことがない回答者に対して「どれが良さそうに見えますか?」とイメージを聞いた調査結果であるにもかかわらず、「利用満足度No.1」と謳う行為は優良誤認表示となってしまいます。

3. 「今だけお得!」の罠(期間限定表示のNGパターン)
多くの企業が取り入れている「期間限定キャンペーン」や「カウントダウンタイマー」ですが、実は大きな罠が潜んでいます。
「期間限定」と謳っておきながら、その期間が終了した後に同じ割引キャンペーンを延長したり、何度も繰り返したりすると、有利誤認表示にあたる可能性が高くなります。
消費者は「今買わないと損をする」と思って購入を決断しているため、その期待を裏切る行為は厳しく制限されます。

4. SNS時代の新常識「ステマ規制(ステルスマーケティング)」
ステマ規制とは、広告主が自らの広告であることを隠したまま、第三者の口コミや投稿のように見せかけて宣伝する行為を禁止するものです。
自社の公式SNSではない、外部のインフルエンサーや一般顧客の投稿であっても、「事業者が表示内容の決定に関与している」と認められる場合は、事業者の表示(広告)と判断されます。

5. 景表法違反を防ぐための「2つの鉄則」
広告・広報担当者様が日常業務で意識すべき鉄則は次の2つです。
①「広告を見た消費者はどう受け取るか?」を客観的に考えましょう。
② 「この表記なら商品は売上No.1なんだな」「今買わないと損なんだな」「このインフルエンサーの純粋な感想なんだな」と消費者が抱くイメージと、実際の事実との間に「乖離(ギャップ)」がないかを検証しましょう。
