整形外科領域における医療倫理~インフォームドコンセントの問題と対策を中心に

開催日時:
2018年11月30日 19:00 〜 20:00
セミナー分類:
交通事故
主催:
柏市整形外科医会
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール
対象者:
主に整形外科医の先生方

整形外科領域における医療倫理~インフォームドコンセントの問題と対策を中心に

セミナー報告

<概要>

整形外科医の先生を中心に約75名にご参加いただき、インフォームドコンセントの問題を中心とした医療倫理について解説をしました。

<具体的な内容>

  • インフォームドコンセントの目的
  • 説明義務違反総論・各論
  • 整形外科領域を中心に争いとなった事案の解説
  • 交渉・裁判のポイント
  • 異常死の届出義務
  • 医療事故調査制度
  • 応召義務
  • 医療訴訟(民事・刑事)
  • 患者とのトラブル
  • 未収金
  • 情報管理
  • 交通事故
  • 合意書作成の方法
  • その他質疑応答

研修会に関連する質問と回答

Q インフォームドコンセントは何のために行うのですか?
  • ①医師が適切と考える医療行為の説明を行い患者の同意を取得することにより,患者が早期かつよりよい治療効果を得ることができるという効果があります。また、②インフォームドコンセントを行うことにより、「説明義務違反」という法律違反を回避することができるという効果もあります。

【解説】

  • 説明義務違反と判断されてしまうと、治療は成功したにもかかわらず損害賠償請求の対象となってしまうことがあります。適切な説明が重要となります。
Q 一般的にはどのような内容を説明すべきとされていますか?
  • ①当該疾患の診断(病名と病状)、②実施予定の手術の内容、③手術に付随する危険性、④他に選択可能な治療方法があればその内容と利害得失、⑤予後を説明すべきとされています。

【解説】

Q 説明義務違反となったらどうなるのですか?
  • 説明義務を尽くしても患者の判断に変わりがなかったと判断される場合には、それほど高額とはならないものの慰謝料が認められることがあります。
  • 説明義務を尽くせば患者の判断に変更があったと判断される場合には、慰謝料のみではなく、生じた結果(死亡・後遺障害)に応じた高額の賠償が認められることがあります。

【解説】

  • 治療自体は成功しても説明義務違反となると慰謝料請求が認められてしまうことがあります。適切な説明が重要となります。
Q 説明義務違反を証明するのは誰ですか?
  • 説明義務違反の裁判の場合,法律の原則からすれば患者側が説明義務違反であることを証明する必要があります。

【解説】

  • 実務上は,説明文書・同意書・カルテの記載などがないと医療機関・医師側に不利に働くこともあります。そのため、書面で説明内容を証明できるようにすることが重要となります。
Q クレーム対応の一般的な心構えにはどのようなものがありますか?
  • (発生確率は極めて低いかもしれないが)最悪の事態を想定する。
  • 最悪の事態を気持ちの中で受け入れる。
  • 最悪の事態を受け入れた上で対応策を考える。
  • 当方が正しい時ほど冷静に対処する。すぐに反論しない。論破しようとしない。怒らない。
  • 解決できないトラブルはない。

【解説】

  • ①同僚・同業者・同業者の団体などに相談しましょう。また、事案によっては②警察に相談しましょう。さらに、③弁護士への相談も検討しましょう。
  • 弁護士が代理した場合、弁護士が警察へ相談、内容証明郵便の相手への送付、医療機関からの民事調停・民事訴訟提起などの対応が考えられます。
    参考情報:民事事件の手続案内(裁判所)
    参考情報:内容証明郵便(日本郵便)

参考リンク