一般社団法人千葉県宅地建物取引業協会の東葛支部にて、会員の皆様を対象とした相続のセミナーを開催しました。
具体的には、次のような相続の重要ポイントを中心に解説しました。
- 相続人の範囲の確定
- 遺産の範囲の確定
- 遺産の評価
- 具体的相続分の確定(特別受益や寄与分など)
- 遺産の分割方法の決定
- 遺産分割協議書の作成など
セミナーを開催した背景と目的
高齢化社会の進展により、相続の問題がよりクローズアップされています。また、相続に関する法改正が最近続いています。
そこで、相続の正確な知識を再確認して日々の業務にいかしていただきたく、本セミナーを開催しました。
セミナーの内容
1. 相続人の範囲の確定
配偶者・子・親・兄弟などの相続人のパターンを解説しました。また、相続放棄・相続欠格・推定相続人の廃除などもあわせて解説しました。
遺産分割の前提として、相続人が誰かを正確に把握する必要があります。
2. 遺産の範囲の確定
法律上の遺産として、遺産分割の対象となるものとならないものを解説しました。遺産分割協議で対象財産が漏れてしまうと再度の遺産分割協議が必要となりますので要注意です。
また、その他遺産の範囲で問題となりやすい次のような点を解説しました。
① 名義預金
② 税務上の遺産と法律上の遺産の概念の違い
3. 遺産の評価
不動産や非上場株式などの遺産の評価方法を解説しました。
特に不動産の評価は争いになりやすいです。不動産が多い遺産分割は、専門家に相談しながら慎重に進めることをおすすめします。
4. 具体的相続分の確定(特別受益や寄与分など)
法定相続分について解説しました。また、実際の相続分を算定するときに考慮する特別受益や寄与分も解説しました。
特別受益とは、故人から生前贈与等によって特別の利益を受けた相続人がいるときに、その贈与等の利益のことです。遺産分割において遺産を先にもらったとして評価することがあります。
寄与分とは、故人の財産の維持や増加に特別の貢献をしてきた相続人に対して、貢献の度合いに応じて相続分を増加する制度です。
特別受益や寄与分はもめやすいです。問題が発生しそうなときは事前に弁護士への相談をおすすめします。
5. 遺産の分割方法の決定
遺産分割には現物分割、代償分割、換価分割、共有分割などがあります。
当事者全員が合意できないときは、現物分割が基本となることなどを解説しました。
6. 遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書面です。相続人全員が署名と捺印をするのが原則です。