2025年7月31日に、「生成AI活用の落とし穴:企業が知っておくべき法的リスクと対応策」と題したオンラインセミナーを開催しました。
ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AIは、多くの企業で業務効率化の手段として注目されています。 しかし、便利な一方で、活用方法を誤ると法的リスクを伴う「落とし穴」が存在することも事実です。
今回のセミナーでは、生成AIを業務に導入する際に直面しうる以下の法的リスクを具体的な事例とともに解説しました。
① 著作権侵害
② 個人情報や営業秘密の漏洩
③ 個人情報保護法との関係
④ 利用規約違反
また、リスクをいかに管理し、AIという強力なツールを安全に活用していくかという実践的な対応策まで踏み込んでお話しさせていただきました。
当日は、AI活用を既に進めている企業のご担当者様から、これから導入を検討している経営者様まで、多くの方にご参加いただき、皆様の関心の高さを改めて実感しました。

本セミナー開催の背景と目的
生成AIの能力が飛躍的に向上し、誰でも手軽に利用できるようになった反面、多くの企業でリスク管理体制が追いついていないのが現状です。
本セミナーでは、皆様に生成AIの法的なリスクを正しく理解していただき、積極的な活用に向けた準備を進めていただくことを第一の目的としました。
セミナーの内容
セミナーは、大きく分けて「生成AIの特徴・種類」「生成AIの留意点(総論)」、「生成AIの留意点(各論)」、「企業が取るべき具体的な対応策」の4部構成で説明しました。
1. 生成AIの特徴・種類
代表的な生成AIとして、次の3つを解説しました。
① ChatGPT
② Gemini
③ Perplexity
2. 生成AIの留意点(総論)
生成AIを利用する際に意識するべき4つのリスク視点を提示しました。
① 入力情報のリスク
② 出力情報の利用リスク
③ 利用規約違反のリスク
④ 内部統制の違反リスク

また、利用規約を確認する5つのポイントの説明も行いました。
① 利用プランに応じた規約があること
② 入力データの取扱い
③ 出力データの権利
④ 禁止事項の確認
⑤ データ管理の確認

特に、無料プランでは入力情報がAIの学習に利用されるのが原則です。
一度学習に利用されると、その情報が他のユーザーへの回答として出力されてしまう可能性もゼロではありません。この点を強調し、安易な無料版の利用に警鐘を鳴らしました。
3. 生成AIの留意点(各論)
次に、代表的な生成AIである「ChatGPT」と「Google Gemini」を例に挙げ、プランごとの規約の違い、入力データの学習利用等について企業の視点から注意点を説明しました。
法人向けプラン(ChatGPTのTeam/EnterpriseプランやGemini for Google Workspace等)では、原則として入力データはAIの学習に利用されません。
企業が機密情報や個人情報を取り扱う可能性がある以上、ビジネス利用においては、こうしたセキュリティ機能が強化された法人向けプランを選択することが重要となります。
4. 企業が取るべき具体的な対応策
最後に、これらのリスクを踏まえ、企業が安全に生成AIを活用するために「今すぐとるべき対応策」として、以下の3つの対策を提案しました。
① 法人向けプランの利用
② 社内規程の整備
③ 従業員への教育
これらの対策を講じることで、生成AIの法的リスクは軽減できます。
