運送業者様向け「最新」の未払い残業代対策セミナー(2022/2/17)

開催日時:
2022年02月17日 16:30 〜 17:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
よつば総合法律事務所
講師:
加藤 貴紀 加藤 貴紀のプロフィール
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
対象者:
運送業者様

運送業者様向け「最新」の未払い残業代対策セミナー(2022/2/17)

セミナー報告

運送業者様を対象として、未払い残業代の実情、裁判での敗訴事例、会社がとるべき対応などを解説しました。具体的には次のような内容です。

  1. 運送業の残業代請求が増えていること
  2. 裁判での敗訴事例(固定残業代制度、歩合給を残業代として扱う制度)
  3. 給与制度変更の注意点など会社がとるべき対応

多くの運送業者様にご参加いただきました。

セミナーを開催した背景と目的

2020年4月から、残業代の時効期間が2年から3年に伸びています。また、2023年4月から、中小企業での60時間を超える残業代の割増率が25%から50%へと変わります。

運送業は未払い残業代のトラブルが発生しやすい業種です。そして、法改正により、ますます残業代のトラブルが増えることが予想されます。

そのため、今回のセミナーでは、運送業の残業代請求の実情や敗訴事例を踏まえたうえで、会社のとるべき対応を人事労務に詳しい弁護士が解説しました。

セミナーの内容

1. 運送業の残業代請求の実情

① 適切な人件費を設定することの重要性
② 残業代請求の増加
③ 運送業が狙い撃ちされる理由
④ 法改正がもたらす影響

2020年4月から残業代の時効期間が2年から3年に伸びており、単純計算でも1.5倍を超える未払い残業代が発生します。

2023年4月から中小企業での60時間を超える残業代の割増率が25%から50%へと変わることもあり、これらの法改正により、残業代のリスクはさらに深刻になります。

2. 裁判での敗訴事例

① 固定残業代の敗訴事例
② 歩合給を残業代として支払う給与体系の敗訴事例

固定残業代制度があったにもかかわらず、多額の未払残業代請求が認められてしまう事例は多いです。

また、歩合給と残業代が連動する給与体系や、歩合的な要素の賃金を残業代として支払っている給与体系もあります。このような制度も、ここ最近の裁判所の考え方を踏まえると、多額の未払残業代請求が認められてしまうことがあります。

残業代のトラブルや裁判は、会社の存続に関わる問題になってしまうこともあります。トラブルになってしまったときは専門家に相談しながら解決しましょう。

3. 会社の対応方法

① 制度変更の全般的な注意点
② 固定残業代を導入するときの注意点
③ 完全歩合給を導入するときの注意点

給与制度を変更するときは、次のような点に気を付ける必要があります。

  • 従業員の納得感を得ること
  • 入念な試算や検証をすること
  • 不利益変更になるときは、原則として従業員の同意をとること

また、固定残業代や完全歩合給などのルールは複雑です。悩んだら、まずは詳しい専門家への相談をおすすめします。

4. まとめ

① 残業代請求のハードルは年々下がっていること
② 法改正もあり、運送業を取り巻く環境は厳しくなっていること
③ 固定残業代は危険であること。また、歩合と残業代が連動する賃金体系、歩合を残業代として支払う賃金体系も危険であること
④ 自社の給与体系や労働実態をまずは正確に把握すべきであること。そのうえで、自社にあった給与体系に変更すること
⑤ 選択肢の1つに完全歩合給制もあること。ただし、導入は簡単ではないので必ず専門家に相談しながら進めること

本セミナーに関連する質問と回答

Q 雇用契約書を作成していません。どうすればよいですか?
雇用契約書を作成しましょう。一度雇用契約書を作成した後も、雇用条件を従業員に不利に変更するときは、再度雇用契約書を作成しましょう。
Q 毎月固定残業代を支払っていれば問題ないですか?
固定残業代は有効になる場合と無効になる場合があります。多数の最高裁判所の判例もあります。固定残業代制度を利用している会社は一度労働問題に詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。
Q 歩合給を残業代として支払っていれば問題ないですか?
歩合給とは別に残業代支払義務が発生することがあります。多数の最高裁判所の判例がある論点です。歩合給を残業代として支払っている会社は一度労働問題に詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。
Q 2024年問題との関係で会社はどの様な対応をするべきですか?
2024年には、労働基準法の上限規制がドライバーに適用となります。運送業はタコグラフを搭載していることが多いため、上限違反が目に見えやすいです。

法改正から数年は実績や統計を取る観点からも労基署が積極的に動く可能性が高いです。労働時間の管理を適正に行うと共に法律に合致した賃金体系にしましょう。

Q これまで残業代の請求をされたことがありません。賃金を見直す必要はありますか?
一度会社の規程に問題がないか確認しましょう。必要があれば賃金を見直しましょう。

残業代請求を1人の従業員がすると、その後従業員の間で残業代の話が広まることがあります。結果的に多数の従業員が残業代の請求をする可能性があります。会社全体の規程の再確認を今のうちにしましょう。

賃金制度の見直しは次の手順が必要です。
①新たな賃金制度の設計
②従業員への説明
③書面による同意取得

賃金制度の見直しはある程度の時間がかかります。そのため、賃金を実際に見直すかどうかは別として、まずは会社の規程に問題がないか確認しましょう。

Q 従業員が労働基準監督署に相談に行っていたようです。どのようなことが想定されますか?
最悪の場合には全従業員の未払い残業代を支払う必要があります。しかも、最悪の場合は過去3年分です。会社に内部留保がないと支払えない可能性もあります。破産になってしまうこともあります。

従業員が労基署に相談に行ったり、未払い残業代の請求をしてきたりしているときは早めに弁護士に相談することをおすすめします。

Q 残業代は何年分請求できますか?
3年分です。毎月の給料日からちょうど3年間が経過すると時効となり請求できません。一度未払残業代が発生しない制度設計を行い、3年間が経過すれば、残業代請求のリスクは極めて低くなります。

参考リンク