労務トラブル2012(労働組合・パワハラ・付加金・消滅時効)

開催日時:
2012年09月19日
セミナー分類:
企業法務
主催:
千葉県社会保険労務士会東葛支部
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール

労務トラブル2012(労働組合・パワハラ・付加金・消滅時効)

セミナー報告

・最近の労務トラブルの傾向
従業員の知識の向上,法律に基づいた解決を要求する従業員の増加,精神疾患の事例の増加,障害年金請求の専門HPの増加,パワハラ・セクハラ事例の増加,労働者側弁護士の専門HPの増加
・会社が労働組合に乗っ取られた事例
会社が労働組合に乗っ取られた事例,弁護士選び,弁護士費用選びについて
・パワハラの事例及び類型
原則違法な類型,ケースバイケースで違法と判断される事例、指導かパワハラかのポイント
・付加金について
付加金の発生時期,付加金の発生条件
・消滅時効について
消滅時効を妨げる事項の個別の解説
・従業員との関係で注意すべき消滅時効
給与・割増賃金・退職金・各種労災給付・年次有給休暇・解雇予告手当・安全配慮義務に基づく損害賠償請求権・セクハラに基づく損害賠償請求権等
・会社側労働事件の弁護士の選び方
・まとめ

本セミナーに関連する質問と回答

Q 1人ではなく多数の従業員が労働組合に加入しました。どうすればよいですか?
労働組合対策専門の弁護士に相談しましょう。
【解説】

  • 多数の従業員が労働組合に加入した阿合、紛争が長期化することが予想されます。また、会社経営が困難な事態となることも十分にありえます。そのため、労働組合対策専門の弁護士への相談をお勧めします。
Q 労働組合加入が1人の場合と多数の場合ではどのような違いの傾向がありますか?
  • 労働組合加入が1人の場合、当該社員の問題が解決すると労働組合の問題も自然と解決する傾向にあります。
  • 他方、労働組合員が多数の場合、継続的に様々な課題が発生することが多く、労働組合の問題が長期化する傾向にあります。
Q 付加金とは何ですか?
  • 会社が①解雇予告手当。②休業手当、③時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)の支払義務に違反した場合又は年次有給休暇中の賃金を支払わなかった場合、裁判所が労働者の請求により未払金の外、同一額の支払を命じることができます。この金額が付加金です。
  • 例えば、残業代の未払額が100万円の場合、付加金100万円が追加され、合計200万円を支払うこととなります。

【解説】

  • 付加金は裁判の判決が確定した場合に初めて確定します。
  • 労働審判は通常付加金は付きません。
Q 会社側の立場として付加金支払をしないでも済むようにする方法は何かありますか?
  • 裁判の判決前に合意で解決すれば付加金支払義務はなくなります。
  • また、仮に、第一審の地方裁判所の判決で付加金支払義務が認められてしまった場合でも、高等裁判所に控訴(不服申立)をした上で元々の元金を支払えば、付加金支払義務はなくなります。
Q 賃金の時効は何年になりますか?
  • 2020年4月1日以降に支払される賃金の場合、支払時期から3年が時効期限となります。

【解説】

  • 今後、5年間に法改正がされる可能性がありますので要注意です。
  • なお、退職金請求権は現在も時効期限は5年間です。
Q 労災保険の給付の時効は何年になりますか?
  • 各種の給付によって異なります。例えば、休業補償給付は賃金を受けとれなかった翌日から2年間です。
Q 安全配慮義務違反の損害賠償請求の時効は何年になりますか?
  • 原則として5年となります。
  • 安全配慮義務違反の時効期間の始期は色々争いが生じうるところです。事故発生日から5年間と考えておいていただければ無難です。

参考リンク