2024年問題を見据えた運送業の労務管理とコンプライアンス(研修講師)

開催日時:
2022年09月12日
セミナー分類:
企業法務
講師:
村岡 つばさ 村岡 つばさのプロフィール
対象者:
運送会社様

2024年問題を見据えた運送業の労務管理とコンプライアンス(研修講師)

セミナー報告

セミナー開催趣旨

運送会社様に研修講師をご依頼頂きました。
労務分野に注力して取り組んでいる、よつば総合法律事務所の弁護士村岡つばさが、複数の運送会社様を対象に2024年問題を見据えた運送業の労務管理とコンプライアンスのお話をいたしました。
当日の講演内容は次の通りです。

第1章 運送業の労務管理について
1 残業代請求
  ⑴ はじめに-2024年問題と残業代請求事件の現状
  ⑵ 給与体系・社内規程の問題
  ⑶ 労働時間管理の問題
2 ハラスメント
第2章 運送業とコンプライアンスについて
1 そもそもコンプライアンスとは?
2 運送業のコンプライアンス違反の事例
3 企業の対応策

概要

第1章 運送業の労務管理について
1 残業代請求
⑴ はじめに-2024年問題と残業代請求事件の現状
最初に、運送業におけるいわゆる「2024年問題」の概要を説明しました。
残業代の時効期間の延長に関しては、2022年4月から既に影響が出始めていること、2024年問題と残業代の問題は切っても切り離せない関係であることや、弁護士が現状予測していることをお話しました。

次に、運送業の残業代につき次の点を解説しました。

  • 運送業が他の業種に比べて残業トラブルが多い理由
  • 昔と違い変革が迫られていること
  • 残業代請求の金額が上がり、従業員側に弁護士が就くケースが非常に増えていること
  • 不十分な労務管理では、今後、運送会社が生き残るのは厳しいこと

併せて、今から残業代問題に取り組まなくてはいけない必要性を解説しました。
⑵ 給与体系・社内規程の問題
現状の給与体系の例をいくつか出し、それぞれの残業代でどこに問題があるか解説しました。

次に、固定残業代はどのような場合に有効か説明しました。①労使間の合意があるか、②対価性があるか、③明確区分性があるか、④公序良俗に反していないか、などの項目をそれぞれ説明しました。
さらに、固定残業代で要注意の5つのポイントを詳しく解説しました。

給与体系を変更する際の重要な次の視点も併せて解説しました。

  • 労働者の納得感
  • 一度設定した制度は簡単に変更できないこと
  • 労働条件の不利益変更に法律面と運用面で配慮すること

⑶ 労働時間管理の問題
実際のタコグラフを用いた労働時間管理の問題や注意点を解説しました。

現場任せで曖昧になりがちな「休憩時間」は、裁判所が考える「休憩時間」と異なることを説明し、労働時間管理の注意点を解説しました。

いくつかのタコグラフの事例と、労働時間管理の注意点を照らし合わせ、どこが問題なのか詳しく説明しました。

2 ハラスメント
運送業のハラスメント案件の実態と企業の対応をお話ししました。

まだまだハラスメントに対し危機感が少ない現実、意外にもセクハラの相談も多いこと、配車係とドライバー間のトラブル等を、実例を交えながら説明しました。

併せて、初動対応の大切さ、被害者だけではなく加害者の処遇の必要性、パワハラ防止法等についてどのようなことをしないといけないのか解説しました。

第2章 運送業とコンプライアンスについて
1 そもそもコンプライアンスとは?
最初にコンプライアンスの定義に関して解説しました。
単に法律を遵守すればいいわけではないこと、「関連会社」「協力会社」のコンプライアンス違反も問題になり得ることなどを解説しました。業種・業界を問わず、コンプライアンス遵守の重要性は高まっています。
2 運送業のコンプライアンス違反の事例
運送業のコンプライアンス違反の事例をもとに、今後運送業で想定されるコンプライアンス違反のケースを解説しました。コンプライアンス違反をすると、最悪どうなってしまうのか、様々な問題を紐解きながら解説しました。
3 企業の対応策
企業の具体的な対応策、コンプライアンスの問題で最も重要なこと、戦略を組み立てて対応する必要性を詳しく解説しました。最後に公益通報者保護法の改正概要を紹介し、講演を締めくくりました。