カスタマーハラスメントを中心とした法的留意点

開催日時:
2025年09月18日 10:30 〜 11:30
セミナー分類:
企業法務
主催:
柏市私立認可保育園協会
講師:
小林 義和 小林 義和のプロフィール
対象者:
柏市私立保育園協会の会員様

カスタマーハラスメントを中心とした法的留意点

セミナー報告

柏市私立保育園協会様向けに、「カスタマーハラスメント対応と園児間のトラブル」のセミナーを開催しました。

多数の園関係者の皆様にご参加いただき、皆様の意識の高さがうかがえました。具体的には、次のようなテーマを中心に解説しました。

  1. カスハラ(営業妨害含む)の該当性、対処法
  2. 園児同士のトラブルとその対処法

セミナーを開催した背景と目的

近年、保育園や幼稚園といった保育事業をめぐる様々なトラブルが増加しており、特に保護者からの過剰な要求や、いわゆる「カスタマーハラスメント」が深刻な問題となっています。

また、園児同士のトラブルについても、その対応をめぐり保護者間で感情的な対立が生じるケースが散見されます。

このような状況を踏まえ、本セミナーでは、園の関係者の皆様が安心して保育に専念できるように、法的観点から具体的な事例をもとにカスハラや園児間のトラブルへの適切な対処法を解説しました。

セミナーの内容

1. カスハラ(営業妨害含む)の該当性、対処法

カスハラについて、最新の法改正の状況や、従業員を守るために事業主が講じることが望ましいとされる対応、カスハラの法的な考え方と具体的な類型を解説しました。

特に、次の3つのタイプについて、具体的な事例を挙げて解説しました。

謝罪や過剰な金銭要求
保護者が過剰な謝罪を求めたり、根拠のない損害賠償を請求したりするケースについて、その法的根拠の有無を検討しました。

特定の職員への攻撃
連絡帳への記載や、グループラインへの特定職員に対する誹謗中傷投稿等の行為が、カスハラ等の法的問題行為に該当するかどうかや、その対応方法などについて解説しました。

営業妨害行為
園の業務時間外に執拗に面談を要求したり、大声で怒鳴りながら長時間の電話を繰り返したりするなど、その態様が悪質で園の業務に重大な支障を生じさせる場合には、威力業務妨害罪不退去罪といった犯罪に該当する可能性があることを説明しました。
※威力業務妨害罪:威力を用いて人の業務を妨害する犯罪
※不退去罪:要求されたにもかかわらず、正当な理由なく他人の住居や建造物から退去しない犯罪

また、これらのカスハラ行為への対応は、次のような点が重要であることを解説しました。
初期対応の重要性を強調し、冷静かつ丁寧な対応を心がけること
一人で対応せずに複数で園として対応すること
安易に要求に応じないこと
状況に応じて毅然とした態度で臨むこと
弁護士等の専門家への相談を早期に行うこと

2. 園児同士のトラブルとその対処法

園児間のトラブルは、その対応を誤ると、保護者間の感情的な対立に発展し、園への信頼を損なうことにもなりかねません。

本セミナーでは、次の3つのポイントに焦点を当てて解説しました。
園側の責任範囲
園児同士のトラブルで、どのような場合に園が治療費などの損害賠償責任を負う可能性があるのかについて、その法的な範囲と、園の責任が認められにくいケースについて解説しました。

園児の怪我やトラブル時の対応
園児が怪我をした場合やトラブルが発生した場合の初期対応について、次の点を中心に解説しました。

  • 怪我をした園児への応急手当と保護者への連絡
  • トラブルの詳細な記録の作成
  • 当事者双方の保護者に対する事実関係の説明と誠実な対応

保護者との連携方法
トラブル発生時に保護者との間で信頼関係を維持し、円満な解決を図るためのポイントを解説しました。また、今後の再発防止策の共有の重要性も解説しました。

参加者の声

  • 実際、職員が疲弊していることもよくありますので、これを機会に対応方法を見直してみたいと思います。
  • 対応する職員の方の健康面は本当に心配です。
  • 以前、当園でも、園児が怪我をしたことがありました。今後の参考にさせて頂きたいと思います。

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