東葛菜の花「高次脳機能障害と家族の会」の会員を対象とした年次総会後の研修会で講師を担当しました。
「弁護士の活用法」というテーマで、弁護士の業務の内容や、どのようなときに弁護士に相談をした方がいいかについて、お話しました。
具体的には、次の点を解説しました。
- 全国の弁護士数と千葉県内の弁護士数
- 弁護士の業務の解説(刑事、民事、その他)
- 弁護士業務の最近の傾向
- 交通事故業務の専門性
セミナーを開催した背景と目的
私の依頼者の方で、交通事故により高次脳機能障害となった被害者とご家族が「東葛菜の花高次脳機能障害と家族の会」に参加していたことがきっかけで、同会の主催者の方とお話をする機会がありました。
その際、主催者の方から、会員の皆様は弁護士が身近にいない方が多く、弁護士にどのようなことを相談できるのか、どのように弁護士を選べばいいのか等の悩みを持っているので、弁護士の業務や相談の方法について話をして欲しいという要望をいただきました。
そこで、弁護士の業務を説明し、どのような場面で弁護士を活用するとよいかをお伝えしたいと思い、本セミナーを開催しました。
セミナーの内容
1. 全国の弁護士数と千葉県内の弁護士数
平成28年1月現在、全国の弁護士数は3万7676人です。10年前の平成18年は2万2000人だったので、弁護士数は増加傾向にあります。また、千葉県内の弁護士数も近年増加傾向にあります。
2. 弁護士の業務の解説(刑事、民事、その他)
弁護士の業務は、大きく分けると①刑事事件②民事事件③その他の3つです。
① 刑事事件
刑事事件における弁護士の業務は、逮捕・勾留された被疑者と接見して弁護方針を決めたり、刑事裁判で被告人を弁護するために証拠を出したり意見を述べることです。
被疑者に代わって被害者と話をして、被害の弁償をするといった活動もあります。
② 民事事件
一般的な民事事件は大きく分けて、次の2つです。
民事事件の範囲は広く、内容は様々です。一般的な民事事件では、弁護士は依頼者との打ち合わせ、事実調査、法律調査、書面作成、契約書のチェック、相手方との交渉、訴訟、強制執行業務などを行っています。
③ その他
その他の業務にも様々なものがあります。たとえば次のような業務や弁護士です。
- 病気や障害などで判断する能力が欠けているのが通常の状態の方の代わりをする成年後見人
- 破産事件で裁判所に代わって財産の調査などを行う破産管財人
- 法律事務所ではなく、企業の法務部で働く弁護士
3. 弁護士業務の最近の傾向
弁護士の業務は多種多様ですが、近年は各分野の専門化が進んでいます。
たとえば、刑事事件を専門的に扱う法律事務所や、離婚事件を専門的に扱う法律事務所など、各分野で専門化が進んでいます。
ある問題について、そもそもどの専門家(弁護士、税理士、司法書士など)に相談すべきなのか、弁護士に相談すべきとしてもどの弁護士が当該分野に詳しいかは、なかなかわかりにくいです。
迷ったときは、身近にいる弁護士に次のような点を聞くのがよいでしょう。
① そもそも弁護士を含め、どの専門家に相談すべき問題なのか?
② 弁護士に相談すべき問題だとして、どんな弁護士に相談した方がよいのか?
4. 交通事故業務の専門性
身近な交通事故の問題も、医学や保険制度、工学などの理解が必要で専門性が高いです。
交通事故の被害にあったときは、交通事故の問題を専門的に取り扱っていて、詳しい弁護士に相談した方がよいでしょう。