日本ファイナンシャルプランナーズ協会大阪支部所属の「SG大阪北」の令和8年1月度研修会において、弁護士とAFPの双方の資格を持つ辻悠祐が、FP業務における生成AIの実務活用法と法的・倫理的リスク管理について説明しました。
セミナーを開催した背景と目的
近年、ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AI技術が急速に普及し、金融・ファイナンシャル・プランニング(FP)実務においても資料作成や顧客対応、リサーチの効率化ツールとして注目を集めています。
しかし、利便性の裏には「誤情報の出力(ハルシネーション)」「著作権侵害」「顧客の個人情報・秘密情報の漏洩」といった深刻なリスクが潜んでいます。
本セミナーは、FPが正しくAIを仕事に採り入れつつ、高い倫理観とリーガルリスク管理のもとで安全に業務をアップデートすることを目的として開催されました。
セミナーの内容
1. 実務を変える「仕事術編」:Gemini Workspaceの活用
仕事術編では、実務にすぐ活かせるツールとして「Gemini ワークスペース(Gemini 3.0、Gem、NotebookLM等)」を紹介しました。
特に、FP業務の生産性を高める、次のような具体的なノウハウを解説しました。
① Gmailとの連携によるメール文面作成
② Googleカレンダーとの連携による日程調整
③ 大量の資料・規定からの即座な情報抽出
2. 知らないと危険な「リスク管理術」:法的・倫理的留意点
弁護士の視点から、FPが生成AIを利用する際に直面する主要なリスクと対策を提示しました。
① 著作権等の侵害リスク
生成AIのコンテンツは、既存コンテンツと類似している可能性があります。そのため、それをそのまま利用することは既存コンテンツに対する著作権侵害等のリスクがあります。
そのため、他の著作権等を侵害していないか類似性の調査を行う重要性を解説しました。
② 情報漏洩・機密保時に関連するリスク
顧客データや未公開情報をAIに入力する際にはセキュリティのリスクがあります。
特に、自動学習がオンになっていると、個人情報や機密情報が漏洩してしまうおそれがあることを具体的に解説しました。
③ AIを安全に運用するための具体的対策
AIを安全に運用するための具体的対策として、以下のポイントを提案しました。
- 利用規約の確認:入力データが学習に使われない設定をチェック
- 自動学習のオフ:機密情報を扱う際の必須条件
- 法人プランの導入:セキュリティが強化されたプランを契約
- 社内ガイドライン:入力可能な情報の基準とルールの明確化
- 継続的なリテラシー教育:従業員の理解度向上とルールの周知
3. AIの動向と今後の流れ・まとめ
今後、生成AIを使いこなす専門家とそうでない専門家との間で「AI格差」が急速に広がることが予測されます。
正しい知識でリスクを管理し、自らの強みと組み合わせることがFPとしての価値を高める鍵であることを解説しました。

