動物病院やペット関連事業者様を対象として、ペット事業者様を悩ますトラブルと対応のポイントを解説しました。具体的には次のような内容です。
- クレーム対応
- 誹謗中傷などのネットの書き込みへの対応
- 債権回収
- お預かり中のケガ
- 逸走トラブル
- 虐待の疑い
- 同意書の作成と取得
- カルテ開示
- 獣医療過誤が起きてしまったときの対策
- 獣医療過誤を防ぐための対策
多くの動物病院やペット事業者様にご参加いただきました。
セミナーを開催した背景と目的
近年の「おうち時間」の増加の影響から、ペットを飼い始める方が増えてきています。
ペット業界が盛り上がりをみせている一方、ペット業界は顧客とのトラブルが発生しやすいという特徴もあります。
実際に発生するトラブルの事例も、医療処置から口コミまで多岐にわたります。
そこで、今回のセミナーでは、ペット事業者様に知っておいて欲しいトラブルと、未然に防ぐための対策を、ペット法務に詳しい弁護士が解説しました。
セミナーの内容
1. クレーム対応
クレーム対応体制の構築は、次の3段階が望ましいことを解説しました。
① クレーム対応マニュアルの作成
② マニュアルに基づく研修
③ マニュアルに基づく対応と修正
あわせて、クレーム対応は、お詫び→傾聴→事実確認→解決策の提示→クロージングの流れで進めるのがよいことを解説しました。
2. 誹謗中傷などのネットの書き込みへの対応
次の3つのネットへの書き込みについて、事実ではないときに削除できるかを解説しました。
① 病院に能力の低い医師や看護師がいる
② 故意に患者を殺害する看護師がいる
③ 検査データ漏洩などの不祥事が発生している
3. 債権回収
内容証明郵便や支払督促、少額訴訟などによる債権回収の方法を解説しました。
また、未収を発生させないための次のような方法を解説しました。
① 身元確認
② 報酬についての十分な事前説明
③ クレジットカード決済導入の検討
④ 支払に関する合意書の事前準備(連帯保証人をつける)
4. お預かり中のケガ
ペットホテルの過失によってペットが怪我したときは、治療費などの損害を賠償すべき責任を負うことを解説しました。
「ペットの死亡やケガが発生した場合も当ホテルは一切責任を負わない」という契約内容に仮になっていたとしても、ホテル側は責任を負うことがありますので要注意です。
5. 逸走トラブル
ペットホテル側の責任で逃がしてしまったときは、飼い主への返還義務不履行に基づく損害を賠償すべきであることを解説しました。
6. 虐待の疑い
動物虐待行為を発見したときは、都道府県知事等への通報や、場合によっては警察への通報を検討すべきことを解説しました。
7. 同意書の作成と取得
手術の同意書であれば、次の内容が入っている同意書を作成するのが望ましいことを解説しました。
① 病名と症状
② 手術名と手術予定日
③ 麻酔の方法・内容及び麻酔によるリスク
④ 手術の必要性
⑤ 手術をしない場合の経過予測
⑥ 手術の危険性及び合併症の有無とその内容
⑦ 他の治療方法との比較
⑧ 予後および後遺症
⑨ 通常は発生しないが起こり得る重大な危険性
⑩ 同意欄
8. カルテ開示
動物病院がカルテの開示請求を受けたときは、原則として開示に応じる必要があることを解説しました。
9. 獣医療過誤が起きてしまったときの対策
獣医療過誤が起きてしまったときは、獣医療ミスと相当因果関係のある損害が賠償の対象となることを解説しました。
主な損害としては、ペットの財産的価値、慰謝料、弁護士費用などがあります。
10. 獣医療過誤を防ぐための対策
獣医療過誤を防ぐためには、次の2点が重要であることを解説しました。
① インフォームドコンセントの徹底
② 現在の獣医療水準に従った治療