消費生活相談実例研修(2025/6/26)

開催日時:
2025年06月26日 13:30 〜 15:30
セミナー分類:
その他
主催:
千葉県弁護士会と山武市
講師:
根來 真一郎 根來 真一郎のプロフィール
対象者:
消費生活相談員

消費生活相談実例研修(2025/6/26)

セミナー報告

消費生活相談員の皆様に向けて、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、具体的な事例に即して解説をする消費生活相談実例研修を開催しました。

具体的には、次のような内容です。

  1. 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修
  2. 振り込め詐欺救済法

研修会を開催した背景と目的

消費生活相談員は、地方公共団体が設置する消費生活センター等の消費生活相談窓口で、困っている皆さんの暮らしを守るために日々活躍しています。皆様とてもよく勉強していて、知識も豊富です。

ただ、消費者被害はあまりにも多様です。

そのため、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、現場の消費生活相談員が困っている具体的な事例を検討して解説をする研修を、毎年複数回、各自治体で開催しています。

研修の内容

1. 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修

次のような個別の事案を題材として、消費生活相談の実例に基づく検討を行いました。

① 振り込め詐欺救済法と銀行口座凍結に関する事例
② 請求書の送付が遅延した事例
③ 工事が遅延するにもかかわらず、工事代金の先払いを求められた事例

2. 振り込め詐欺救済法とは

振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)とは、振り込め詐欺等の被害に遭われた方のために、金融機関の犯罪利用口座に振り込まれ、口座に滞留している犯罪被害金を被害者に返還する手続等を定めた法律です。

対象となる犯罪利用口座とは、いわゆる振り込め詐欺やヤミ金融等の犯罪行為において振込先となった預金口座のことです。

3. 振り込め詐欺救済法の手続きの流れについて

振り込め詐欺救済法による被害回復分配金支払いの流れは次のとおりです。

① 被害に遭われた方が警察と金融機関に申し出
② 金融機関による預金口座等の取引停止措置
③ 金融機関が預金保険機構へ公告を求め、預金保険機構が失権のため公告 
④ 金融機関が預金保険機構への公告を求め、預金保険機構が分配金支払手続開始のための公告 
⑤ 被害に遭われた方が金融機関に被害回復分配金の支払申請
⑥ 金融機関が支払 

4. 振り込め詐欺救済法の支払額について 

振り込め詐欺救済法による被害回復分配金の支払額は、口座残高や被害に遭われた方の人数に応じて変わります。

被害に遭われた方が1名で、振り込め詐欺により振り込んでしまった残高が犯罪利用口座に残っていた場合、被害回復分配金として全額が支払われる可能性が高いです。

それに対して、犯罪利用口座に残っていた残高が、振り込め詐欺により振り込んでしまった金額より少ない場合、金融機関は犯罪利用口座に残っていた残高を超えて支払いを行うことはありません。

さらに、被害に遭われた方が複数名の場合、被害に遭われた方間で振込金額に応じて按分をすることとなります。

そのため、被害金額が多く口座残高が少ない場合、被害回復分配金として被害金全額の支払は難しいという課題があります。

参加者の声

  • ありがとうございました。
  • 勉強になりました。
  • 振り込め詐欺救済法のことが改めてよくわかりました。

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