消費生活相談実例研修(2024/10/11)

開催日時:
2024年10月11日 13:30 〜 15:30
セミナー分類:
その他
主催:
千葉県弁護士会と山武市
講師:
根來 真一郎 根來 真一郎のプロフィール
対象者:
消費生活相談員

消費生活相談実例研修(2024/10/11)

セミナー報告

消費生活相談員の皆様に向けて、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、具体的な事例に即して解説をする消費生活相談実例研修を開催しました。

具体的には、次のような内容です。

  1. 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修
  2. 契約不適合責任

研修会を開催した背景と目的

消費生活相談員は、地方公共団体が設置する消費生活センター等の消費生活相談窓口で、困っている皆さんの暮らしを守るために日々活躍しています。皆様とてもよく勉強していて、知識も豊富です。

ただ、消費者被害はあまりにも多様です。

そのため、千葉県弁護士会の消費者問題委員会に所属している弁護士らで、現場の消費生活相談員が困っている具体的な事例を検討して解説をする研修を、毎年複数回、各自治体で開催しています。

研修の内容

1. 具体的な事例を元にした消費生活相談実例研修

次のような個別の事案を題材として、消費生活相談の実例に基づく検討を行いました。
① 投資詐欺により多額の現金を振り込んでしまった事例
② 中古パソコンを購入したらトラブルになってしまった事例
③ レスキューサービスを依頼したところ、相場からかけ離れた金額が請求された事例

2. 契約不適合責任

① 契約不適合責任とは
契約不適応責任とは、売買契約等に基づき引き渡された商品の種類・品質・数量に相違があった場合等に、売主が買主に対し負う法的な責任のことです。

民法562条1項において、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。」と規定されています。

② 目的物の種類・品質・数量とは

目的物の種類が契約の内容に適合しないものであるときとは、売買契約に基づき引き渡された商品の種類が異なっていたような場合のことです。

たとえば、ある掃除機を購入したのだけれど、届けられた掃除機が間違っていたような場合です。

目的物の品質が契約の内容に適合しないものであるときとは、売買契約に基づき引き渡された商品の品質が異なっていたような場合のことです。

たとえば、熟練の職人によるハンドメイドの商品を購入したのだけれど、届けられた商品は素人が製作した耐久性に問題のある商品であったような場合です。

目的物の数量が契約の内容に適合しないものであるときとは、売買契約に基づき引き渡された商品の数量が異なっていたような場合のことです。

たとえば、ある掃除機を2台購入したのだけれど、届けられた掃除機が1台であったような場合です。

③ 目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しによる履行の追完請求とは

目的物に契約不適合があるときは、履行の追完請求をすることができます。履行の追完の具体的な方法としては、修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しが民法に定められています。

修補とは、売買契約に基づき引き渡された商品が壊れていたような場合で、壊れていた商品を修理してもらうことです。

代替物の引渡しとは、売買契約に基づき引き渡された商品が壊れていたような場合に、壊れていない代わりの物を引渡してもらうことです。

不足分の引渡しとは、売買契約にも届く引き渡された商品が足りなかったような場合に、不足分を追加で引き渡してもらうことです。

④ 代金減額請求とは

履行の追完請求を行ったにもかかわらず、履行の追完がないときは、代金減額請求をできます。民法563条1項において、「買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。」と規定されています。

たとえば、価値の高い材料で作られているはずが価値の低い材料で作られていたような場合、材料の修補を請求したにもかかわらず対応してもらえないようであれば、価値の差額を減額請求するようなことが考えられます。

⑤ 損害賠償請求・解除とは

履行の追完請求や代金減額請求と併せて、損害賠償請求をしたり、契約を解除して代金の返還請求したりできます。民法564条において、「前二条の規定は、…損害賠償の請求…解除権の行使を妨げない。」と規定されています。

損害賠償請求としては、たとえば、「雨漏りがない」と説明された家を購入したにもかかわらず、大規模な雨漏りが発生し、自ら修理をした場合の修理代金を損害賠償請求することが考えられます。

解除としては、たとえば「基礎工事に問題ない」と説明された家を購入したにもかかわらず、基礎工事に問題があり、修理困難な傾きが発生してしまったような場合が考えられます。

参加者の声

  • ありがとうございました。
  • 勉強になりました。
  • 契約不適合責任のことが改めてよくわかりました。

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