弁護士が本音で語る労働トラブルの具体例と解決法・事務所業績向上のために

開催日時:
2011年06月11日
セミナー分類:
企業法務
主催:
パンネット(東京)
講師:
大澤 一郎 大澤 一郎のプロフィール
開催会場:
公益財団法人東京都中小企業振興公社

弁護士が本音で語る労働トラブルの具体例と解決法・事務所業績向上のために

セミナー報告

社会保険労務士の先生の団体(パンネット)にて、労働問題等について2時間のセミナー講師をしました。

  • 社会保険労務士の先生と労務問題
  • よくある社長様の勘違いの事例
  • 労務問題の現状について訴訟労働審判の現場から
  • 民事訴訟の事例(普通解雇)
  • 裁判(民事訴訟)の特徴
  • 労働審判の事例解説(割増賃金)
  • 労働審判の事例(解雇)
  • 裁判(労働審判)の特徴
  • 裁判の特徴
  • 団体交渉の事例特徴
  • 裁判所の手続きにおいて気を付けるべき手続き
  • 敵を知れば残業代は怖くない!
  • 残業代請求対策の視点
  • 残業代請求対策への防衛策
  • 具体的防衛策
  • 残業代請求のまとめ
  • 解雇についての知識
  • 事前予防が最大の解雇紛争防止対策
  • 取締役の解任について
  • 解雇のまとめ
  • 顧問弁護士制度について
  • まとめ

本研修会に関連する質問と回答

Q 解雇の事案の場合、労働審判と民事訴訟ではどちらが会社にとって大変ですか?
  • 民事訴訟の方が大変です。

【解説】

  • 民事訴訟の場合、事案によっては1年から2年以上判決までかかることがあります。判決で会社が負けてしまった場合、判決時までのバックペイ(給与)を支払うことになってしまうことがあります。そのため、会社にとって解雇の民事訴訟はリスクが高いです。
  • 他方、労働審判の場合、数カ月から半年位の間に終わります。そのため、会社が負けてしまった場合でも、民事裁判に比べると支払額が少なく解決できることが多いです。
Q 残業代の事案の場合、労働審判と民事訴訟ではどちらが会社にとって大変ですか?
  • 個別の事案によります。

【解説】

  • 労働審判の場合、ある程度の証拠に基づいて概算で計算をすることが多いです。他方、民事訴訟の場合、証拠や証言に基づきより詳細に計算をすることが多いです。
  • 労働者の主張している内容に問題が多い場合、民事訴訟の方が会社にとって有利な解決となるかもしれません。他方、労働者の主張している内容にある程度理由があると思われる場合、労働審判の方が会社にとって有利な解決となるかもしれません。
Q 労働組合対応を弁護士に依頼するメリットは何ですか?
  • 弁護士が団体交渉に同席することができます。
  • 社長や会社担当者が心理的に安心できます。
  • 法律的に妥当な水準での解決が可能です。

【解説】

  • 弁護士の団体交渉への同席は望ましい場合とあまり望ましくない場合があります。個別の事案によりますので作戦を立てて実行しましょう。
  • 労働組合との関係がこじれるのは危険です。①街宣活動、②役所や取引先への密告、③不特定多数人へのビラ配布、④労働組合のWEBサイトへの事実経緯の公開などの危険性があります。労働組合との関係では誠実な対応を心掛けましょう。
Q 解雇でもめる会社の特徴はどのような会社ですか?
  • 社長が専門家に相談せず解雇してしまう会社がトラブルの確率が経験上高いです。

【解説】

  • 退職勧奨による退職などの穏便な方法であればトラブルにならずに解決可能です。
  • また、仮に解雇をする場合でも再三の注意指導をしたり、証拠を集めたりした後であれば解雇が有効となる可能性もあります。
  • 一番よくないのは専門家に相談せずに解雇してしまうことです。
Q 残業代でもめる会社の特徴はどのような会社ですか?
  • 元々未払残業代が発生しやすい業種の会社です。例えば運送業・建設業などです。
  • また、今まで一度も残業代のトラブルが発生しておらず、何も対策をしていない会社も危険です。

【解説】

  • ①書類の整備及び②実態の改善を行いましょう。
  • ①書類の整備としては、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・給与規程、給与明細などを整備しましょう。
  • ②実態の改善としては、そもそも勤務時間が長くなりにくい対策をしましょう。併せて、各種書類と実態の乖離がないかを確認しましょう。

参考リンク