千葉県社会保険労務士会の社内研修として、人事労務に関する契約書の実務を解説しました。具体的には次のような内容です。
- 契約書の重要性
- 雇用契約
- 身元保証契約
- 業務委託契約
- 競業避止義務の誓約書
- 金銭消費貸借契約
- 顧問契約
多くの社会保険労務士の先生にご参加いただきました。
研修を開催した背景と目的
契約書の作成方法を間違うと、取り返しがつかないことになってしまいます。
そこで、人事労務関連の契約書で適切な内容を作成するポイントなどを、千葉県社会保険労務士会の会内研修にて解説しました。
研修の内容
1. 契約書の重要性
紛争予防や紛争時のリスク低減のため、契約書は重要です。
そこで、当事者の意思に合致した内容を作成するとともに、署名押印をもらうことが重要であることなどを解説しました。
2. 雇用契約
雇用契約書について、特に裁判などで争いになりやすい次の点などを解説しました。
- ① 契約期間
- ② 就業の場所
- ③ 従事すべき業務の内容
- ④ 休憩時間
- ⑤ 諸手当の額又は計算方法
- ⑥ 賞与
- ⑦ 退職金
雇用契約書の記載を間違うと、取り返しのつかないことになってしまうこともあります。悩んだら、まずは専門家へのご相談をおすすめします。
3. 身元保証契約
身元保証契約について、次の点などを解説しました。
- ① 身元保証契約は上限額を定めることが必要であること
- ② 保証期間は期間を定めなければ3年、期間を定めても最長5年であること
4. 業務委託契約
業務委託契約について、次の点などを解説しました。
- ① 実質的には雇用契約とならないように注意すべきであること
- ② 雇用契約と判断されると社会保険料の追納、残業代の支払義務の発生などのトラブルが発生すること
5. 競業避止義務の誓約書
退職後の競業避止義務について、次の点が有効かどうかのポイントとなることなどを解説しました。
- ① 守るべき会社の利益の存在
- ② 従業員の地位
- ③ 地域的な限定の有無
- ④ 競業避止義務の存続期間
- ⑤ 禁止される競業行為の範囲
- ⑥ 代償措置の有無
競業避止義務の誓約書が有効になるかどうかは専門的な判断が必要です。悩んだら、法律に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
6. 金銭消費貸借契約
会社が従業員にお金を貸すことは意外と多いです。最低限、次のような内容に注意して欲しいことなどを解説しました。
- ① 従業員でも口約束はNG
- ② 利息などは事前に決めておく
- ③ 支払いが滞ったときは一括払いという約束(期限の利益の喪失)を入れておく
7. 顧問契約
社会保険労務士と顧問会社との顧問契約について、次の点に注意して欲しいことなどを解説しました。
- ① 業務内容の記載(約束できないことは記載しないことなど)
- ② 報酬の記載方法(稼働時間の上限、別料金になる事項など)
- ③ 免責規定(損害賠償の上限額、軽過失免責など)